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【映画】ショウタイムセブン(2025年)

〜2025年2月9日〜

阿部寛さん主演
映画「ショウタイムセブン」を観ました。

ニュースキャスターと爆破犯のやり取りの生放送があったなら
視聴者が安全な場所で
「巻き込まれず」「見るだけなら」
興味が唆られますよね。

そんな狂気と正気が混沌とする世界に阿部さんが導いてくれました。

ちょっと辛口?ですがレビューです。


〈ストーリー〉

スキャンダルによりラジオ局へ左遷となった国民的ニュース番組「ショウタイム7」の元人気キャスター折本眞之輔。
彼の生放送のラジオ番組にある男から電話が入る。
男は言う通りにしなければ発電所を爆破すると折本に告げ、要求を断ると事件が起きた。
折本はこの危機を番組への復帰チャンスと捉えテレビスタジオに行き
自らがキャスターとして犯人と交渉する様子を生中継するという強行手段をとったが…。


〈キャスト〉

主人公、折本眞之輔 《阿部寛》

若手キャスター、安積征哉《竜星涼》
結城千晴《生見愛瑠》

レポーター・記者、伊東さくら《井川遥》

テレビプロデューサー、東梅剛史《吉田鋼太郎》

爆破テロ犯、繁藤寛二《錦戸亮》

脚本・監督《渡辺一貴》


〈練られた人物像〉

かつて政界や経済界などをはじめ様々なスキャンダルに切り込み真実を追求していた折本ですが
物語が進んでゆくうちに彼の「正義」の歪みが見えてきます。

折本はヒーローかもしれない。
でももしかしたら事件をエンタメ化して視聴率を稼ぎたいだけなのかもしれない。
どちらにも取れる人物像を演じた阿部さんの演技は素晴らしかったですね。

しかし結局、折本自身の本当の目的は何だったのか。
その判断を観ている側に委ねられる展開もあったので
観客の中にはモヤモヤした方もいらしたかもしれません。

爆破犯は家族思いで真面目な一面もありました。
ほぼ電話の声でキャラクターを作り上げ、
ラストの大切なシーンでの錦戸さんの表情に
事件を起こしてしまうまでの爆破犯の心の動き、葛藤が見られてとても素晴らしかったですね〜。

物語をハラハラドキドキに仕上げるために
折本と繁藤の人物像はじっくり練られていたと思います。

あ、吉田鋼太郎さんは
もー、さすがです笑。
騙されてる?と疑うキャラクター像がドンピシャで気持ち良かったです。

〈視線〉

緊迫したスタジオ。
真実が明かされるにつれ
この作品の伝えたいメッセージが届いてきます。

常に冷静に冷淡に事件を見ている折本。
そんな彼と同じ視線を私たちは持っているのでははないか。

あらゆる事件や出来事を目にしても
その深刻さが届かない距離にいて私たちは傍観している。 

安全なポジションから事件や出来事を見て
正しいかそうでないかを決め
時に罰するような言葉を好み
やがてエンタメとしてまとめてゆく私たち傍観者。

若いキャスターの純粋な視線はそんな私たちに向けられた厳しい視線にも見えました。


〈脆弱さ〉

爆発のシーンにスタジオ内で怯える人々はいましたが
その他の「人々」の印象はあまり残りまませんでした。

さらに繁藤が爆破の知識をどこで身につけたのか、
スタジオの爆発物はどのタイミングで仕掛けられたのか、
スタッフはなぜ気が付かないの?などの疑問は残り
単独で発電所に爆発物を仕掛けることが可能だとしたら
やはりわずかでも映像でその様を見たかったですね。

「フィクションだし、そんな細かい描写はなくてもいいじゃん」
「こまけーな」
と言われてしまいそうですが笑

上映時間の関係?でカットされたのかも知れませんが
物語の冒頭で爆破犯の事情を知り、感情移入したけれど
省略したのは都合良すぎではないか…と後半ではある意味冷めてしまいました。

物事のリアリティを避けている私たちに
何かを問いかける作品だと思うのだけれど
見終わった後に少し首を傾けてしまったのは
この作品にはエンタメだからこそ描けるリアリティが描かれておらず
その分脆弱だったように感じたからでした。

物語としては目新しいものではなく
演出に既視感さえありますが(失礼)

それでも古く感じさせない仕上がりになったのは演者さんたちの力量もあったと思います。
何よりしっかりハラハラドキドキしましたよ!笑。

エンディングの「Perfume」も良かったですね。
作品のイメージにピッタリでした。

映画「ショウタイムセブン」は
映画のリアリティを深く考えさせられた作品でした。


#映画感想文

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松本アニー
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