【術後】
ストレッチャーで移動中、朦朧とした頭でセルフチェックを行う。
喉が痛い!何故だろうか?
直感でピンときた!きっと挿管されたに違いない。
脇阪に「喉が痛い。挿管されたのではないか?」と聞くと・・・
脇阪は「手術も長引いたし、されててもおかしくないね」だった。
聞く相手を間違った・・・
それから、ちんちんの先っぽに違和感を感じた。
どうやら寝てる間に、尿道カテーテルを挿入されたようだ。
病室に帰ってくると、違うエアーマットに交換されていた。
今度は時間が経つと微妙に動いた。
壊れていないようだった。
少し・・・かなりかな?柔らかく、次第に身体が痛くなってきた。
設定で固めにしてもらうと痛みが安らいだ。
エアーマットって期待したほど、良いものではなかった。
夕食の配膳が始まった。
僕はと言えば、腹が減っているが、絶食中で水分摂取も禁止されていた。
多量の出血の為、輸血されていた。
まるで吸血鬼だなと失笑した。
多量に血が抜けたようで悪寒に苦しむ。
寒さを訴えると電気毛布にくるまれ保温された。
温かさからいつしか眠ってしまったようだ。
目が覚めると、今度は身体が異常に熱い。誰か電気毛布を剥いでくれ~
しかし、肝心のナースコールがない。
見るとテーブルにあり、完全に置物になっていた。
失敗した、セットするのを忘れていた。不覚である。
僕の生きるナースコールは、いびきをかいていた。
「Hey Siri 今何時?」
Siriは答えた。
「3時8分です。」
目覚めた時間も不覚だった。
汗だくで喉も乾いた。
ヤバい熱中症で死ぬかもしれない。
廊下を誰かが通ったら声をかけよう。
自分自身との闘いが始まった。
それから20分ぐらい経った時に、誰かの足音が近づいてきた。
その足音は、脇阪だった。
人選する余地がなかった。
脇阪を呼び止め、電気毛布を取ってもらう。涼しい。
水分摂取させて欲しいと頼むと「5時まで絶食。」の一点張りだった。
5時まで・・・
後、1時間ちょい・・・
これってどうなんだろうか?
朝起きて市川さんに話したら「僕は、内緒でちょくちょく飲んでましたよ~」と言っていた。
やはり動けると言う事は、幸せだと思った。
しかし、この脇阪は天使ではなく、悪魔そのものだ。
この後、最大の怒りがこみ上げる出来事が・・・
イラッ!ムカッ!とすることに。
つづく
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