岩手県花巻市大迫町に通って早6年。
9月11日~13日に岩手県花巻市大迫町を訪問しました。農村ツーリズムと名付けたゼミのフィールドワークです。2019年から始まり、コロナ禍を経て2022年に再開。夏の恒例行事になりましたね。
現地コーディネーターは、地域おこし協力隊から新規就農し、ぶどう農家になった鈴木寛太さん。寛太さんとの出会いは8年ほど前。前職の研究室に突撃訪問されたのがきっかけです。
毎年、寛太さんが運営するかんたはうすに泊まり、僕も学生と川の字になって寝ています。痩せているのにいびきがうるさいので迷惑がられています。
今年も充実の日々でした。1日目は大迫高校のみなさんと一緒にぶどうを収穫し、選果作業。その後、千葉商科大学の学生と語る会が車座で始まりました。僕のむちゃぶりの質問にも学生はしっかり答えてくれましたね。その様子は大迫高校のnoteで報告されているので、こちらをご覧ください。
https://ooh-hs.note.jp/n/n6bc3d9bfed26
2日目は、大迫小学校でめげな会(かわいいという意味の方言)の活動に参加。前日お世話になった高校生、地元の老人会の方々も参加し、生徒と一緒に校庭で栽培しているぶどうを収穫しました。このぶどうは、めげな会と生徒が1年間とおして管理しているそうです。学生も収穫、選果、小分け作業をテキパキとこなしてましたね。午後は、寛太さんの圃場でぶどうの収穫と選果作業。ラジオを聴きながら、ひたすらぶどうと向き合う時間です。
3日目は、葡萄が丘農業研究所を訪問し、工藤所長から大迫町のぶどう栽培の歴史と現状、就農支援などについてお話を伺いました。圃場の見学をしながら様々な品種のぶどうを試食。とても贅沢な時間です。その後、大迫町で活動する地域おこし協力隊2名の方と座談会。移住・定住の経緯を聞きながら、生き方を語るかっこいいおじさんたち。そして、エーデルワインでお買い物。
フィールドワークの楽しみのひとつが食です。1日目の夜はえにしでいただきました。千葉からUターンした大将が握るお寿司は最高に美味しく、毎年の定番です。2日目の夜はみんなでメニューを決めて自炊。一昨年はカレー、昨年はギョーザ、今年はたこ焼き、お好み焼き、もんじゃ焼きと粉もん3連発。共同作業なので、学生同士の仲も深まりますね。
そして、2日目の夜の定番がもうひとつ。地元で捕れたシカ肉とキノコのアヒージョ。エーデルワインの社員でぶどう農家でもある佐藤哲夫さんが毎年振る舞ってくれます。学生もシカ肉の柔らかさ、美味しさに感動していました。これも学びのひとつです。
うちの学部は農業や農村について学ぶ授業がなく(なぜ、僕がいるのか不明ですが)、このような農村での活動が初めてという学生がほとんどです。その意味で貴重な体験で、何よりも東京から移住・定住し、地域とつながりながら暮らす寛太さんの生き方に触れてもらえるだけでも、視野が広がるかなと思っています。
少し大学教員からの目線に戻すと、なぜひとつの地域とこうやって何年も関わり続けることができているのか、改めて帰りの新幹線で考えていました。大学の役割として社会貢献、地域貢献が使命としてあり、どの大学も地域連携を躍起になって進めているのが現状です。その場合、よくあるのが学生が地域の課題を発見し、解決案を提案するというもの(2泊3日とかでプレゼンまでやっているところもあるのですごい)。うまくいけばプロジェクトを立ち上げ、商品開発や交流人口を増やす取り組みへという流れです。
ただ、毎年毎年金太郎飴のような学生の提案が出てきたり、プロジェクトが終わると関係性が途切れてしまったりと課題もあります。プロジェクトが終わって継続したとしても、また新たなプロジェクトを立ち上げるという教員や受け入れ先の負担増になるケースもよく見られます。
それと、僕は大迫町に調査で入っているわけではありません。アクションリサーチも注目されていますが、それでもありません。研究者であれば、通い続けて何もしてないのはどうなのかと言われてしまいそうですが、調査が終われば通わないというのもよく見られるわけです。
僕は学生とプロジェクトを回す、調査をして成果にまとめる力量がないので、そういう先生方を見ているとすごいなと思っているのですが、もう少し地域との“ゆるい”つながりを長く続けることができないかと今回、改めて考えました。「旅行以上、プロジェクト/調査未満」と言えますね。これも地域連携の形です。
小口ゼミと大迫町の関係性はまさにそれで、だからこそ寛太さんも僕も無理なく、楽しみながらつながり合えているような気がしています。こういう楽しい関係性の上に様々な活動が発展し、プロジェクトなどが生まれてくるのかもしれません。
3日間、本当にお世話になりました!