わかりやすい!中医学の基礎 V.19〜舌でわかるからだの状態
中医学では、『望診』・『聞診』・『問診』・『切診』という4つのからだを診る方法があります。
日本では、診断(病名を決定すること)ができるのは医師だけなので、薬剤師や登録販売者ができるのは、『全体的・部分的な状態を確認し、中医学的にからだの状態を推測すること』です。
望診というのは、雰囲気、目の力、顔の表情や色、手足の状態などを全体的・部分的に見ることで、その中に『舌を診る』ことも含まれています。
聞診は、音を聞くこと、問診は、生活習慣や既往歴、排便や排尿の状態、家族歴など、不調に影響すると考えられるものを実際に聞いて確認していくことです。
切診は、『脈を診る』ことですが、切診ができるは医師と鍼灸師などの国家資格を持つ一部の専門家のみです。(ご自分の脈をみることは構いません)
ここでは、一番ご自身で確認しやすい『舌診』について少しご紹介いたします。
舌の状態の分類はとても多いのですが、わかりやすいものだけを取り上げています。
ただ、あくまでも全体の雰囲気や訴えの方が優先されますので、舌診はその補助的なものだと考えてください。
舌
中医学では、舌は『内臓の鏡』とも呼ばれており、内臓の状態を映し出すものとされています。一番深い関わりがある臓は、『心』です。
舌を観察するときに注意すること
舌を見るときの手順
①観察は自然光の下で行いましょう。(光によって色調が変わることがあるため)
②口を大きく開けて自然な姿勢で(力むと舌先が赤く全体は白っぽくなる)
舌の色調・苔の状態、痩せてるかボテッとしているか・動きなどを確認していきます。このとき、先端から根元にかけて見ていきます。
最後に舌の裏を見ます。
舌を見るときに注意すること
●舌を見る前には色がつきやすい食べ物・飲み物を避けましょう。(みかん・ビタミン剤・梅干し・コーヒー・お茶・ぶどう・ブルーベリー・豆乳・牛乳など)
●舌ブラシで苔を削がないようにしましょう
健康な舌
全体の色が薄いピンク色で、口を開けたときに両端にピタッと収まる感じで程よい大きさ。自由に動かすことができる。
舌苔は白く薄く均等に覆われていて適度に潤いがある。
苔は拭っても取れない。
舌の色でわかるからだの状態
【舌の色が薄い・ほとんど色がない】
舌の色は、気血の状態を表します。
白っぽい場合は、気血不足で栄養が満たされていない状態が推測できます。
【舌の色が赤い】
舌の色が赤い場合には、『熱』があることが推測できます。
黄色っぽい苔になっている場合もあります。
赤ければ赤いほど、熱の状態が強いことを示します。
また、赤くても苔が少なく、割れているような部位がある場合には『陰虚』
のために熱が盛んになっていることが推測されます。
【舌の色が暗い】
紫っぽい舌の場合には、気血が滞っている『血瘀』があることが推測されます。
舌の大きさでわかるからだの状態
【細い】
舌を出したときに、口角の隙間がかなり空いているような場合で、
舌の動きに力がなく、色も薄く、舌の形が口の両端につかず、細い場合には、『虚証』であることが推測されます。
【ぼてっとしている】
舌を出したときに、口の両端からはみ出るようにぼてっとした状態は、胃腸のはたらきが低下し、湿が体に溜まっている状態が推測されます。
このとき、舌の両端が波打つような感じになっていることが多いです。
舌下静脈の状態を確認
舌を持ち上げて、静脈の状態を見て見ましょう。
正常であれば、スッと線が伸びていてボコボコしていません。
これが、ボコボコとしていているようなら『血瘀=新鮮な栄養に富んだ血液の流れが悪くなっている状態』があると推測できます。