専門家目線になる漢方薬の使い分け13〜ストレス対処の方剤〜柴胡剤①
些細なことでイライラする・寝つきが悪い・すぐに怒ってしまう・ため息ばかりつく・疲れやすい・胃がもたれる・・
思い切って病院に行っても、特に異常はなく、先生曰く『ストレスですね』
そうはいっても、どうすればいいのか・・
生きる環境をごろっと変えてしまえば、ストレスは無くなるのか?
そんなことはありませんよね。また、新しいストレスが生まれるだけです。
なぜなら、ストレスはご自身を取り巻く環境によってもたらされるものだから。
でも、それを『ストレスと感じるのか感じないのか』は自分次第!
『ストレスがかかる環境に置かれた時のからだの反応』は変えることができるのです!
ストレスと自律神経
ストレスがかかると、それに反応して自律神経が活性化します。
正確にいうと、自律神経のうちの交感神経と副交感神経のバランスが変わってしまうのです。
自律神経は、「生命を維持する神経」のため、外界からの刺激に即座に反応してからだを守ろうとします。
その、自律神経が活性化した結果がご自身にとって不快な症状である場合、『ストレス』となってしまうのですね。
この「ストレス」が体にかかったときの体の過剰な反応を和らげて、ニュートラルに持って行ってくれる漢方薬は『柴胡剤』と総称で呼ばれます。
『柴胡剤』は、その名前の由来である『柴胡』と清熱薬である『黄芩』をベースとした漢方薬です。
ドラックストアで販売されていたり、医療用として一般的に使われているものだけでも、数種類あるので、どれをどれがいいのか?はその方の抱えるお悩みと体質から選んでいきます。
柴胡剤を構成する、『柴胡』と『黄芩』
まずは、柴胡と黄芩はどのような生薬であるか、ここをしっかりと押さえておきましょう。
柴胡
気を巡らす働きに優れ、体内にこもった熱を発散させたり、炎症を抑えたりする働きを持つ生薬です。
気を持ち上げる働き、鬱々とした気分を発散させる作用があり精神的な症状にも効果があります。
また、風邪が長引いた時などの、寒熱往来(1日のうちで体温が1度前後上下するもの)・胸が張って息苦しいなどの症状を和らげます。
肝の気を巡らせて、怒りの感情を処理するのに役立つため、 月経前や更年期などのイライラにも良い生薬です。
慢性炎症・アレルギー体質・神経過敏の体質改善に少量の柴胡を長期服用することもあります。
生薬の『柴胡』が入っている漢方薬は、『亜急性期』に使われることが多く、風邪などに使用する場合には『長引いている』ことを目安にしましょう。
黄芩
黄芩は、寒性の性質を持ち、熱を冷ます働きが強い生薬です。
熱邪を冷ます以外に、湿邪を取り除き、特に上半身、肺熱(呼吸器感染症)を冷ます効果もあります。
肺熱:咽頭炎 咳 黄色い痰
胃熱:口内炎 吐き気 みぞおちの膨満感 下痢
目の充血 熱による不眠 など
血熱:鼻血 吐血
など、熱が症状の原因となっている時に速やかに熱を冷まします。
ドラックストアで購入できる柴胡剤
①大柴胡湯
②柴胡加竜骨牡蛎湯
③四逆散(黄芩は含まれないが柴胡剤として分類)
④小柴胡湯
⑤柴胡桂枝湯
⑥柴胡桂枝乾姜湯
次回は、それぞれについて特徴を見て見ましょう。