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わかりやすい!中医学の基礎講座Vo.2




前回は『気』『血』『津液(水)』について大まかに触れました。

中医学に興味のお持ちの方は、これから中医学の本を読むこともあるかと思います。

中医学では、人体における壮大な概念(フィクション)をもとに私たちの病気とその治療法について考えていきます。

西洋医学を学んできた方には、最初は理解できないことだらけ。


???の連続です。

『気』『血』『水』だけをとっても、それが本当か??を追求することに意味はありません。そう考えて、治療していくと上手くいったという結果の集積がそこにあるだけです。

検査方法もなく、病気についての研究も進んでいなかった時代、私たちがどうして病気になるのか、まだどうして治していけばいいのかを想像し、実践し、経験を積み、結果を集積して検証していく方法しかなかったのです。

そして、千年以上の時を経て、本当に効果があったものが現在に残っている漢方薬なのです。

中医学を壮大なフィクションとして楽しめば、そこに目に見えない宇宙の広がりを感じ、西洋医学では到達できない人の体の尊さを宇宙とのつながりを感じることができるでしょう。


『気』について


先天の気と後天の気


「元気がない」「やる気がない」など、私たち日本人には「気」という言葉は馴染みのある言葉ですね。

中医学では、『気』は最も重要な生命活動のベースとなるエネルギーと考えられています。

『気』がなくては生命活動を維持することはできません。

歩く、走る、立つ、などの日常活動の動作も全て『気』のエネルギーを使って行います。

また、臓腑のはたらきを維持したり、意識を正常に保ったり、体温の維持、血液の循環などの生命活動に直接関係する部分も『気』のはたらきでコントロールされています。

からだの中の「気」は、大きく、両親から受け継いだものと、呼吸をしたり、飲食物を食べることにより脾胃(胃腸機能を指します)で作られるものがあり、それぞれ次のように呼ばれています。

先天の気と後天の気


先天の気=両親から
後天の気=飲食物を消化して作り出される


『気』の種類


また、気は、その存在する部位によっていくつかの呼び名があります。
(臨床的にはそれほど重要なことではありませんので、ご参考程度に)

気の種類


『気』の働き

体を満たし、駆け巡る『気』のはたらきをまとめると、次の表のようになります。
中医学の本には難しい言葉が出てきますが、右のような意味ですので置き換えて読んでみましょう。

『気』のはたらき

『気』のトラブルがある場合の症状

『気』には、このようなはたらきがあるため気が不足したり、気のめぐりが悪くなったり(気が巡らず滞ることを気滞といいます)すると、これらのはたらきが邪魔されてしまいます。


実際には、気虚、気滞が五臓のうち、心・肝・脾・肺・腎のどの部位で起こっているのかで、さらに症状が細かく現れるのですが、大まかな症状といしては次のような症状がみられます。


気が不足した場合(気虚):

●だるい●すぐに疲れる●めまい●自汗(運動していないのに汗をかく)
●呼吸が浅い(息切れなど)
など


気が滞った場合(気滞):
●胸がはったりつかえるような感じがある●痛み(強い痛み)
●気分の落ち込み●やる気が出ない・何もしたくない●イライラして怒りっぽい
など

『気』を西洋医学的に考えると

気は体を動かすエネルギーであるため、西洋医学的に考えるとその多くがミトコンドリアで作られるATP(アデノシン三リン酸)に該当するかと思います。
私たちの細胞は、ATPのエネルギーがなければ動くことも、熱を産むことも、代謝をすることもできません。

まとめ

●『気』は両親から受け継いだもの(胎児の時から体に備っているもの=先天の気)と飲食物によって生後に随時補給されるものがある(後天の気)

●『気』には、部位や働きによって名称がある(臨床上では分けることに重要な意味はない)

●『気』の働きには大きく5つに分けられる。
①体を動かす ②体を温める ③抵抗力 ④血液や体液が漏れでないように止める ⑤物質の変化に関わる

●なんらかの原因で『気』が不足したり『気』がめぐらなくなることで、からだに不調が現れる


今回は、「気」について少し詳しくご説明いたしました。


『気』=エネルギーが不足した状態にもかかわらず、何もしないまま無理をして過ごしていると、血の不足や津液の不足につながることにもなりかねません。


大きな不調を感じない場合でも、上記のような症状が続いた場合には、『気』の部分に何らかのトラブルが起こっていることが推測できます。

ご自身の状態を確認し、普段は食事の工夫や生活での工夫をしながら、また時には、漢方薬を使いながら養生をしていきましょう。

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