わかりやすい!中医学の基礎Vo.6
中医学の考え方の元となっている世界観について学びましょう。
この考え方は、3大古典の1つ、『黄帝内経(こうていだいけい)』に記されています。
中医学とその世界観
黄帝内経より抜粋
1)人は天地の気を受けて生まれた
中医学では、世界を陰と陽の相互作用によって生じた物質と考えており、人も物質世界の一部として捉えています。
2)形と神を分かつことはできない
肉体と精神は分けられないということ。形(肉体)があって生命があり、生命があってこそ精神活動や生理機能がある。これらが統一されて生命は存在すると説いています。
3)病気は知ることができ、予防することができる
病気は、外から来るものだけではなく内側に原因を求めて、体の内側での病的な変化で、陰陽のバランスが崩れがて、体の外側、私たちが自覚する症状として確認できる。
この変化に早く気がづき、早期に治す、もしくは未然に防ぐことが大切であると説いています。
人は自然界の一部
この頃に、このような哲学的な考え方、また病気に対する考え方が確立され、広められていたことにとても驚きと感動を覚えますね。
現代を生きる私たちは、自然環境のリズムで生きること、自然環境と一緒に生きることを忘れ、それこそ人間の都合で自然環境そのものを変えようとしています。
でも、その自然は人間の一部なのです。
自然環境を無理矢理変えようとすると、結局は人間にその無理が跳ね返り、人間の健康を害してしまうことになる。
そのような自然の摂理を、1800年前から(もしくはそれ以上前から)人は本質的に知っていたのです。
また、病気は突然起こるものではなく、体の不調に耳を傾けていれば知ることができ、またそれを予防することができるということが記載されています。
現代に生きる私たちは、病気になったらあたふたとして治療法を探しますが、本来は体自身が、本格的な病気になる前に訴えているのです。
ただその訴えを聞くことができないほどに、鈍感になってしまったか、または聞く耳を持たないほどに余裕がなくなってしまっているかなのでしょう。
日本でも、医師による治療が一般的ではない時代は、体の不調を感じたら、野山に生えている草木を利用し、症状を緩和していた時代もありました。
この草木を利用することは、現在の漢方薬のルーツとも言えるでしょう。
漢方医療を学ぶということは、体の訴えに耳を傾け、その治療法を自分自身で探して実践するという本来の人の治療のあり方を学ぶということでもあるのです。