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#6 【教材分析】と【文法分析】を授業へ活かす方法

割引あり

日本語文法の授業を作るには、教材分析と文法分析が欠かせません。しかしそれぞれを行っただけでは、直接「授業」へはつながりません。それらをつなげ、教案に起こして「授業」にするまでの手順を追って解説していきます。


参考文献

今回のnoteの参考文献はこちら。

教材分析から授業へ

授業準備の第一歩は、教材分析です。使おうとするその教材がどんな教材なのか、まずは教師自身が知らなければ、使いこなすことはできません。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

教材分析

ご自分が担当される文型が、その教材ではどのように扱われているのかを分析していきましょう。これを間違うと、教科書とは別の用法を扱ってしまったり、教材が意図していないことを教えてしまったり、大変なことになってしまいます。

・教科書の効果的な使い方(順番等)
・教科書がその文型をどのように捉えているか=何を教えるか

これらを例文練習問題会話例などから、分析してみましょう。同じ文型でも、扱われている用法や文型の捉え方は、教材によって異なります。

そして最も重要なのが、既習項目の確認です。教科書の第1課ではない限り、必ず既習の語彙や表現、文型があります。これが「i+1」の「i」の部分になります。
文型導入をする際の説明には、必ず既習項目を使用します。既習項目である、学習者が理解できる「i」に、新出文型の「1」をプラスして導入を行うのが「文法積み上げ式」です。これはインプット仮説に基づいた教授法です。
もし教師の不注意や勉強不足が原因で、新しい文型や語彙(+1)を授業中にたくさん出してしまうと、学習者は「i」も「1」も理解することができません。すなわち積み上がるべきものが積み上がらなくなってしまうのです。
文法積み上げ式の教科書は、必ず既習項目を使って新出の学習項目を教えることができるようになっています。どの既習項目を使って新出文型を教えるのか、教材分析を通してよく検討してみてください。

既習項目の確認方法

文型の提出順を確認する場合は、教科書の目次や巻末資料・指導書などを見れば、一覧が見つけられるでしょう。語彙については、教科書や副教材に語彙リストが付属している場合や、教科書のサポートサイトなどからダウンロードできる場合があります。
また、全国的なシェアが高い教材の場合には、ネット上で個人のブログ記事などが公開されていることも多いです。そちらで学習項目の提出順や未習/既習が調べられる場合もあります。

「みんなの日本語」の場合は、こちらのLangoalというサイトがおすすめです。特に語彙に関しては、イラスト付きの語彙シートがサイト内で無料で配布されています。漢字・ふりがな・英語あり・ローマ字あり・イラストのみ・テスト形式など、様々なタイプがダウンロード可能です。

授業ではできるだけ、既習項目を使ったスパイラル学習を意識しましょう。以前に学習した文型や語彙を何度も何度も繰り返し使うことで、既習項目の定着を図ることができます。

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