犬のいた季節
小説の主人公は高校で暮らす白い犬「コーシロー」です。
白い犬は青春を生きている彼らを卒業の季節に見送っていきます。
章ごとに高校3年生の彼らが主人公になるのですが、毎年個性豊かな卒業生たちを見送っていくシーンは切なくなります。
次のぺージをめくると新しい高校3年生が主人公になります。
これもまた切なくなります。
もう前のページで主人公だった高校生は卒業していなくなっているんですから。
これはコーシローと同じ気持ちですね。
犬の寿命は15年ほどと言われています。
当然、コーシローも章を追うごとに歳をとっていき、五感が鈍る表現が多くなります。
泣きそうになります。
次の章は卒業していく高校生ではなく、コーシローがいなくなってしまうのではないかと。
最終章では、コーシローを中心に物語を描いていった卒業生が同窓会で集まります。
コーシローはもういません。
本当にコーシローは尊い存在です。
言葉が通じなくて、モヤモヤするシーンもたくさんありましたが、必死に生徒たちに何かを伝えようとする姿は可愛らしかったですね。