おとなの読書感想文1
読書メモをしようと思います。気まぐれで始めたのでおぼろげな記憶のもと書いています。しかしそれが実は本当の読書感想文だったりするかもしれません。
『蜜蜂と遠雷』恩田陸
圧巻でした。凡人だと登場人物が動揺したり緊張する場面を読むと「ミスに繋がっちゃうのかな。台無しになる?」と不安になりましたが、杞憂でした。そういう次元の人たちじゃない。天才たちの世界で、化学反応が起きていく様はあまりにすごくて言葉を失います。「努力の人」と「天才」がいます。天才へのやっかみみたいなものは作中にはなく、ただただレベルの高い人たちがさらに音楽を楽しみ、深めていき、成長していくのは気持ちがいい。爽快。読了後の満足感が高いです。
『凍りのクジラ』辻村深月
大長編ドラえもんの脚本を担当された辻村さん。かなり前にドラえもんの秘密道具を小ネタにした小説を書いていました。正直、面白くはないです。2/3まで進んでも物語が動きません。おそらく途中で読むのを辞める人もいると思います。個人的には元彼が堕ちていく様は心が痛くもあり、客観的にダメな人間を見ることができ、良かったと思います。ラストの展開は勢いがありましたが、そこに至るまでがしんどいので結果あまり良い印象は残りませんでした。
『かがみの孤城』辻村深月
話題だったのでどんなもんかなと。『凍りのクジラ』がいまひとつ響かなかったけれど、これは評判が良かったし読んでみました。が、結論として自分には辻村作品が合わないと判断しました。前述した作品同様に物語が動くまでかなりのページを要します。せっかちなわけではないのですが、引き込まれるものがないんですね。伏線も途中でわかってしまって、あまりドキドキ感もなく。それと一番しんどいのは不登校の子供たち(主に主人公のこころ)の心情描写です。この本がどの層に受けているのかはわかりませんが、不登校の生徒が読んでも救われることはないと思いました。共感することもきついと思います。もしかすると、現在不登校の生徒ではなく、「かつて不登校だった自分のような生徒を助けたいと思ってスクールカウンセラーを目指している私」さんがいたら彼・彼女を勇気付ける作品かもしれません。
『私は私のままで生きることにした』キム・スヒョン
これはめちゃくちゃ気に入りました。誰かに勧めたくなるような本ではあるんですが、自分が必要としたときに出会えば良い本だと思います。僕はたまたま色々あって落ち込んでいて苦しくて、でも応援されたり、怒られたりを受け止める気力もなくて。なんか良い本ないかなと思っていたときにタイトルに惹かれて手に取りました。他人の基準と自分の基準、世間体、社会的なんちゃら。めんどくさいよね。なんでそんなことで自分を傷つけられたり、潰されなきゃならないの? 自分はとても大切な存在なんです。そんなことされる筋合いはない。そう気づかせてくれます。好きな箇所に付箋を貼って、ぱらぱらと読み返します。こういう支えとなる本が1冊でも2冊でもあるとすごく心強いです。
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