人生は暇つぶし?(『生殖記』朝井リョウ)
『生殖記』(朝井リョウ)を読んだので、少し感想を。
この本の主人公は、様々な理由から、死ぬまでの時間を虚無に陥らずに生きていくための方法を求めている。
成長を追い求める社会人に擬態したり、
ダイエットに励んではスイーツ作りを極めたりして。
そうして時間を前へと進ませている。
この部分を読んで、私の読書に対する感じ方と似ているところがあると気づいた。
私は本を読む前、「このページ数の分は余計な思考に陥らずにただ没頭できる」と感じてうれしくなる。
虚無感や焦燥感などに苦しんだりせずに本の世界だけを楽しんでいられる、と半ば安心すら覚える。
これは、主人公が時間を進ませようとする様と似ている。
他にも、ただ穏やかに過ごせれば基本的に幸せだと考えているところ、
成長し続けなければいけないかのような世の中の雰囲気に違和感を感じるところなど、
主人公とどこか似ているところがある。
人生は暇つぶしという考えは割合しっくり来るけど、そう冷静にいられない時も多い。
だけど、なるべく楽しい暇つぶしの人生になればいいなとは思う。