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コラム#10 子どもより売り上げ?営業重視の学習塾の実態と対策
学習塾は、子どもの未来を形作る重要な場として、多くの親御さんが関心を寄せるところです。しかし、その選択には注意が必要です。
私は長年、大手学習塾に勤めた経験がありますが、子どもや親を「カネの種」としか見ていない人柄の社員を数多目にしてきました。
学習塾業界に長年関わってきた経験から、保護者の方々にぜひ考えていただきたい視点をお伝えします。
学習塾の「ピンからキリまで」
学習塾と一口に言っても、その質や方針は多種多様です。特に注意していただきたいのは、「高額な授業料が必ずしも高い教育価値を保証しない」という点です。例えば、有名ブランドの学習塾でも、講師の多くは非常勤であり、時給制やコマ単位の報酬で働いています。一方、正社員の多くは営業ノルマを課されているケースが多く、授業の提案が必ずしも教育的必要性に基づいているとは限りません。
営業ノルマと子どもへの影響
学習塾の正社員が高額な授業を提案する背景には、会社から課される「売り上げノルマ」があります。このノルマは、子どもたちの教育内容よりも利益を優先する結果を生むことがあります。そのため、本来必要のない授業や教材が提案されることも少なくありません。
もちろん、正社員全員が悪意を持って行動しているわけではありません。しかし、保護者の方が「この授業は本当に子どもにとって必要なのか?」と冷静に判断しなければ、教育費が無駄に膨らむリスクがあるのです。
講師の「人柄」を見極める重要性
授業の質を決定づけるのは、最終的には「人」です。子どもに寄り添い、真剣に指導に取り組む講師を見つけることが、学習塾選びの最重要ポイントと言えるでしょう。講師の肩書きや所属だけで判断するのではなく、実際に話をしてみて、その人柄や教育への姿勢を観察してください。
また、「調子の良いことばかり言う」社員や「やたらと早口な社員」には注意が必要です。説得力のある話し方が必ずしも誠実さを意味するわけではありません。「子どもに合う指導」を第一に考え、営業トークに惑わされない冷静さが求められます。
魑魅魍魎の世界を生き抜くために
学習塾業界は、言い換えれば利益競争の激しい世界でもあります。その中で、親御さんは自分の子どもが適切な環境で学べるよう、慎重に見極める必要があります。子どもを「営業成績のコマ」として扱う人間に振り回されないよう、塾側の提案をうのみにせず、「本当に必要かどうか」を常に問い直してください。
最後に
学習塾はあくまでツールです。ツールの価値は、それをどう活用するかによって決まります。お子さんが本当に必要としているのは、「質の高い指導」と「親身なサポート」です。その本質を見失わず、冷静に選択を行うことで、最良の環境を見つけてください。それが、お子さんの未来を輝かせる第一歩になるでしょう。