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どう生きたいかを考える、読書備忘録

 30代を経て40代に入り、人生において色々な焦りはあるものの、昔に比べると、仕事場や人間関係で悩みにぶつかった時の乗り越え方や、自身の機嫌の取り方が分かってきて、随分と生きることを楽しめるようになった。そんな今、これからをどう生きたいか、生きるのかを考えるきっかけになった、最近読んだ3冊を記録しておこうと思う。

 その1、よしもとばななさんの「海のふた」。ふるさとの西伊豆でかき氷屋さんをはじめた“まりちゃん”と、大切な人を失い、ひと夏まりちゃんのもとへやってきた”はじめちゃん”が、変わりゆく町や人達の中で、何が自分たちにとって大切か、どう生きるのが自分たちにとって誇らしいのかを考えていく物語だったのだけれど、変化が苦手な私にとっては、静かな海の中に浸かっているような気持ちになれる本だった。毎日は考えないけれど、ふとした時に考えてしまう不変なことは無いのだという事。それは時々怖くもなってしまうのだけれど、この物語の2人のように、自分の中に芯を持って、静かに受け入れていく生き方が出来たなら、それはとってもきれいで優しい生き方だなと思う。

 その2、原田マハさんの「生きるぼくら」。いじめから引きこもりになった”麻生人生”が、突然母がいなくなったことで、年賀状をたよりにおばあちゃんの家に転がり込み、そこで同じく訪ねてきた”つぼみ”と過ごしながら、働いてお金を得るということ、人間関係を大切に築くということ、ちゃんと楽しみと有難さを持ってごはんを食べるということ・・・生活していくということ、生きるということを改めて学び、そして少しずつ始めていくという物語で、この本を読んでいる間、毎日ちゃんとごはんをつくって、ちゃんと仕事に行くことがなんだか嬉しかった。丁寧に、ちゃんと考えて生活してみることが、温かな生き方につながることってあるのだと思う。

 その3、ヘッセさん(訳:高橋健二さん)の「シッダールタ」。舞台は古代インドで、バラモン僧の息子シッダールタの、修行や生き方を通して変わっていく価値観、人生観、死生観の変遷を描いた哲学的な小説なのだけれど、この本は未だ自分の中ではどう消化して良いか分からない。自己啓発の本を読んでも思うのだけれど、感情や価値観があまりに達観してしまい、喜怒哀楽や煩悩がすべて静かなものになってしまったら、そこで自分は何を思って生きるのか、それは良いことなのだろうかと考えてしまう。人間に生まれて人間が築いてきた社会の中で生きていること、地球に生まれて地球が築いてきた自然の中で暮らしていること、今このタイミングに生きていること、そういった中で良く生きたいという思いが自分の中にあって、まだ哲学的な考えには到達できず、ちびまるこちゃんやサザエさんのような世界観の中で生きていきたいなと思ったのだった。もっと年を重ねたら違うのかもしれない。もう少し人生の先輩になったら、また本書を読んでみたいと思う。



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