新しい空気で息を吸う
いつから好きだったんだろうと、疑問に思うことがある。
スーパーに買い物に行こうと言われた。
明るい昼間のことで、
わたしたちは煙草を吸っていたので、換気扇をまわしていた。
(我が家の煙草は、換気扇の下に限定されている)
「じゃあ、少し窓を開けていこう」と言ったわたしは、無意識にこう続けていた。
「換気好きだから」
いつからこんなことになったのだろう。
いちばん長く住んでいたみっつ前の家には網戸がなかったから
(家賃が3万円の、どうしようもない家だった)
そんなに換気をしたりしなかったと思う。
ふたつ前の家から、窓がふたつある家に住んでいるから、その頃だろうか。
窓がふたつある家に浮かれて、「換気ができる!」と思ったのだろうか。
今では確かに、
晴れている日の昼間の、窓を開け放していることにしあわせを感じている。
冬はそんなに積極的になれないけれど、
夏は、エアコンを切って風を通したりしていた。
これからも、そういう季節がくると思うと、(それについては)わくわくしてしまう。
暑いのは嫌だけれど
「悪い気を流し出しちゃうのよ」、
窓を開けていたとき、誰かにそんなことを言った記憶もある。
そうだ、それから気分転換のひとつとして、窓を開けているような気もする。
あるときは社内のチャットで、「酸素濃度が下がっています、窓を開けましょう」というのが、自動で流れたりしていた。
ああそうか、だから頭が痛かったり眠かったりするのかあ、とぼんやり思ったりする。
快適な温度である、ということは生きるうえや、作業効率をあげるために重要であるということは承知しているけれど
今でも、会社の窓がどこか、薄く開いていたりするとほっとする。
ああ、ちゃんと新しい空気が入ってきているのだ、と思う。
なぜかほっとする。
風を通して、好きなアロマを焚いて、
生まれ変わった、というと大袈裟か
脱皮、というのも大袈裟か
そう、なんだかすっきりした気持ちになる。
わたしは今日も、どこかの窓を開けている。