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日高屋、二十二時
何もできなかった休日の終わりに、日高屋のことを思い出している。
日曜日、二十二時の日高屋のこと。
その日わたしたちはとても良いライブを見て帰った。
もう少し語らいたいような、高揚感を終わらせたくないような気分で、駅前を見渡したら、日高屋があった。
それは、ごはんを食べたいわたしと、お酒を飲みたいツレを救ってくれる場所だった。
日曜日の夜にしては混んでいて、わたしたちは奥の席に座った。
ひとりでラーメンを食べる人、おじさんの二人組、女の子のふたり組
お酒を飲む人、おしゃべりをする人
思い思いの日高屋は、ざわざわと心地の良い波に揺られているようだった。
それから、中華丼と餃子を食べて、ツレが頼んだ鶏の何かをつまんで、お腹も気持ちもいっぱいになって、それはあふれるような満足感で、でもまだ後ろ髪を引かれるようなゆるい何かに捕まってしまったような、なんとも不思議な感覚だった。
もう充分なのに、帰りたくない。
日高屋が24時間営業じゃなくてよかった。
最後にはきちんと帰れるようになっている。
きっとここは、居心地が良すぎるんだと思う。
悲しくなったり寂しくなったりすると、いまでも日高屋のことを思い出す。
そりゃあ、金曜とか土曜の夜の、もう少し早い時間は、もっと賑わっているのかもしれないけれど
日曜日の夜にも、けっしてひっそりとしないで、オレンジの明かりを灯して、お腹いっぱいにしてくれる。時間を共有する同志……それは、休日の終わりか、何でもない一日の終わりなのか、終電でどこかへ向かうのかもしれないけれど、夜を賑やかす人たちがいて、誰でも受け入れてくれる懐の深さがある。
きっと、あれこれ考える前に、日高屋に行ったほうがいいんだと思う。
明るくて暖かいところで、温かいものを食べたりしたら、きっと
まあ何かあったら日高屋に帰ろう。と思えば、たいていのことは何とかなるような気がしている。
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