「不登校」を受け入れようとする気持ちの邪魔する3つの考え方
「不登校」という言葉の消滅を信じ、「不登校の教科書」という本を作っています。
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本記事は、その続きです。
▽「不登校」を受け入れる気持ちの邪魔をする3つの考え方
「不登校をチャンスに!」と書きましたが、そう簡単に前向きになれるものでもないでしょう。僕も多くの親御さんの悩み聞かせてもらいましたが、共通しているのは
「このまま学校へ行くことができないと、子どもはどうなってしまうのだろう。」
というものでした。
どんなときも親御さんは、子どもの幸せな未来を願っています。しかし不登校という現実をつきつけられたとき、それまで開けていた可能性という未来が急に閉ざされてしまったような気持ちになるのです。
不安は常に先の見えない状況から生まれます。ただ、このまま思い悩んでいても解決するとは限りません。だからこそ、不登校という現実を受け止めることから始める必要があるのです。
まずは、不安な気持ちになった際に囚われがちになる3つの考え方について知りましょう。囚われがちな考え方を知ることで、前向きに対処することができます。
心理学者のマーティン・セリグマンさんは、人間がうまくいかないことに対してどのように対処するかを研究し、囚われがちな「3つのP」を明らかにしました。それが、
の3つです。それぞれがあなたの思考にどのような影響を与えるのかを紹介します。
①不安を煽る「自責化」とは
「不登校になったのは、私の育て方が悪かった。」
このような気持ちを抱く親御さんは少なくありません。この考え方こそ、「自責化」なのです。もちろん、子どもが思い悩んでいる姿を見ると、親としてなんとか力を貸してあげたいと思うのは当然でしょう。
しかし、親御さんが自分をいくら責めたとしても子どもが喜ぶことはないのです。子どもさんの立場になって考えるのであれば、責任を感じて悲しんでいる状態というのはマイナスでしかありません。
むしろ、「いつも応援しているよ!」と前向きな姿を見せてあげることの方が、子どもさんも嬉しいでしょう。気分が落ち込むと、ついつい自責化に囚われがちになります。
「自分が・・・」という考え方が顔を出したら、「あぁ、これは自責化だなぁ」と客観的に受け止め、囚われないようにしましょう。
②極端に考える「普遍化」とは
「不登校になったらこの子の人生は終わりだ。」
というような極端な考え方に囚われてしまうのが「普遍化」です。不安な気持ちに覆いつくされ、もう身動きが取れなくなってしまうような感覚に囚われてしまうのです。
ただ、一歩引いて冷静に考えることができれば、「不登校で人生全体を判断することは大げさすぎる」と分かるでしょう。しかし、不登校に限らずですが、当事者や渦中にいる人ほど、客観的に捉えることが難しくなってしまいます。
普遍化の怖さは、一部を全部ととらえてしまうことだと知り、「極端に考えすぎてしまっているなぁ」と客観的に受け止めましょう。
③終わらないと考える「永続化」とは
「不登校という状況はこれからずっと続く。」
というように、「今の状況が永遠に続く」という考え方を「永続化」です。子どもが不登校になったという現在から「大人になったら・・・」と不確定な未来を見据え、「私たちが歳を取ったら・・・」というように、永遠と今の状態が変化しないことを前提として考えてしまうところに怖さがあります。
しかし、物事には永遠に変わらないことの方が多いのは自明の理。「不登校」という概念さえ急速に変化しつつあります。そんな世の中において、自分の子どもを取り巻く環境だけが永遠に同じままであることの可能性の方が低いでしょう。
「今の状況に思い悩んだとしても、永遠に続くことはない」と冷静に判断することが肝心です。
【参考文献】#OPTION B