私の消滅 読了

今回は中村文則著「私の消滅」を読了しました。

小塚亮大という男の顛末と復讐を描いた物語です。(あらすじを書くのが難しかったので短めです・・・🙇)
また、中村文則さんの小説を読むのは今回で2回目です。

タイトルに「消滅」とあるように、記憶を消滅させるシーンが多々表れます。大きなものから小さなものまで、消したい過去をもっている方は多いと思います。私にも消せたら良いのになと思うことがあるので、共感的でした。
この物語自体が凄絶で、トラウマみたいなものに感じました。しかし、今回も前回読んだ小説と似たような文がありました。(自殺に対して)「自分はこの世界に敗北したことになる。」。中村文則さんは、自ら図って死ぬことを世界に敗北することと書いている。自分の周囲は暗い海に包まれているが、光が見える方へ必死に食い付こうとする力強さが感じられて、中村文則さんの小説をもっと読みたいと思いました。
人は歪むと救われることがなくなって、救われる権利もなくなるのでしょうか。しかし、当事者が救われたいと素朴に望むことができたら、自然と人に頼るのではないだろうか。落とし穴だらけの世界で、そんな風に望むのは危険だとも思う。人生は拠り所を探し求める旅のようなものなのかもしれない。
とても心が痛くなったが、深く心に染みた物語でした。

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