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沼ってる人は、自分が恐怖の沼人(ぬまびと)なことに気がつかない!

沼というのは恐ろしい。推し活をはじめ、沼のような何かにはまってしまった人間は、かつてのその人ではない。恐怖の沼人ぬまびとだ。

えっ、わたし、ぜんぜん怖くないよ?


違う、違う。
そりゃ、自分ではそう思うでしょ。
周りの人間が見たときに怖いんだ。

身近な人でいうと、奥さんが韓国アイドルに沼ってしまった。その恐怖たるや、わたしは直視できない。

ひとりで活動しているぶんにはまだいい。ああいう人たちは、なぜか志を同じくする集団で活動する。完全に新興宗教にはまってしまった人だ。

家庭のなかで、心がここにない。目も、耳も、思考も常にスマホの中にある。家族を放置し、集会に出かけ、留守中も謎のグッズがマンションに配達される。

お茶を飲んでひと息つくとき、奥さんは正気に戻ることがあるが、そんなときでも、

マグカップに印刷されたアイドルが、わたしをじっと見つめる。


頭がおかしくなりそうだ。

さて、わたしが沼っているもの。
きっぱり言ってしまうなら、そんなものはない

……いや、沼人ぬまびとの言葉など信じてはいけない。


たとえそれが自分の声であったとしても。

自らの行動を客観的に振り返ってみたほうがいいだろう。

わたしは居間でノートPCを開いている。マンションのエアコンの配置の問題で、冬場はここしか場所がないのだ。

うっ、奥さんが後ろを通ろうとしている。


勘づいたわたしは、不自然にならないようにノートPCのモニターを閉じる。

これを見られるわけにはいかない。
なぜなら、わたしのフォルダは、何百もの女子高生のイラストで埋め尽くされているのだから。

こんな感じ。

フォルダの一部のキャプチャー

こんなの、傍から見たら、猟奇的な犯罪者にしか見えない。もちろんこれには理由がある。

【客観的に見たときに】わたしがはまっているものとはAIイラストなのだ。別に女子高生にはまっているわけではない。本当に。

はじめは、noteで投稿していた小説に「登場人物のイラストを付けたい」からはじまった。Canvaの生成AIで試してみると、思いのほか、イメージに合ったものができて感動した。

初代ヒロイン

これはいける! 
しかし、すぐに課題があきらかになる。

再現性がない。このイラストのバリエーションをつくりたかったのだが、彼女はもう二度と現れてくれなかった(彼女は幽霊という設定だったので、それはそれで納得できたところがあったが……)。

わたしはAIイラストの性質を理解した。

たとえるなら、これは降霊術だ。プロンプトで同じようなイメージを伝えたとしても、出てくるものにバラつきがある。そもそも生成AIの核は統計処理だから、こちらでコントロールできるものではないのだ。

作成中の画面(この後どんなイラストが出てくるかまったくわからない)

わたしは、AIイラストをあきらめかけた。別にここであきらめてもよかったのだが、あることが引っかかっていた。あのキャラのイラストを創らなくていいのだろうか……。

わたしの小説に難しいキャラクターがいた。絶世の美女で、怒りっぽくて、炎の技を使う女子高生。こんなの、絶対にビジュアル化できんだろ。

超能力が飛び交う「青春サバイバル学園小説」

……これは、すべてのことに言えるのだけど、物事に行き詰ったとき、あと「ほんの少し」粘ることで圧倒的に道が開けることがある。仕事、結婚、趣味、すべてにおいて言える。

この場合は、AIイラストに道が開けてしまった!

ラストワンマイルの粘りで、わたしは表現不可能と思えたキャラを具現化させ、さらにバリエーションを大量につくり出す方法を発見した。

最近は、セーラー服の感じを弱めようとしてコート着せています……

それでも、不完全な黒魔術のようなもの。生成AIである以上、確率の問題はつきまとう。

ここに沼のキーワードがある。もしイラストを完全にコントロールできていたなら、わたしはこんなに大量のイラストをつくらなかったはずだ。

失敗するからこそ、手が止まらなくなる。条件を変え、また試したくなる。奇跡の一枚ができたときは感動に震える。

冬らしい奇跡の一枚!

そう、わたしを沼らせた要因は、確率だ。
確率は、人を中毒にする。

脳の冷静な部分が、「これはギャンブルにはまっている人の状態だ」とわたしに告げる。脳の原始的な領域がほどよい確率の蜜に反応しているのだ。

けっして、女子高生に反応しているわけではない。制服がセーラー服なのは、わたしが通っていた高校がそうだったから、キャラ設計のときにイメージがしやすかっただけ。

ホントだよ?

まあ、その辺の子細(?)はさて置き、手を変え品を変え大量のイラストをつくり続けているという事実から、わたしはAIイラストに沼っていると言ってよさそうだ。

冒頭の話を繰り返す。
沼っている人は、本人がどうあれ、周りの人間から見たときに怖い。

わたしはどうしても想像してしまう。
何かの事情で、わたしが突然死んでしまったとする。家族が遺品整理のために、わたしのノートPCを開くだろう。
すると、大量のセーラー服が……、

ひっ……、ぎゃーーーーーーっ!!


事実は小説よりも奇なりだね。

ホラー以外の何ものでもない。

読んでくれてありがとう!

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