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3連休二日目の日曜日の夜。例によってこの日も7時前に銭湯に行った。
宿直のスタッフさんから風呂券をもらい、施設の玄関に立った時ふと気がついた。
どうやらこの1週間私は施設からほとんど外に出ていなかったようだ。
というのもその週は毎月恒例のレディースデイ期間だったので、入浴は館内のシャワーで済ませていた。さらにいつもなら週に1回あるはずの歩行訓練も、訓練士さんのスケジュールの都合で無しになってしまったからだ
1週間ぶりの銭湯を満喫して下駄箱に戻ると、外からいつもは聞こえてこないような音が聞こえてくる。
鐘の音、太鼓の音、威勢の良い人々の声…。
祭りばやしである。
そろそろ夏祭りの時期だから、近所の人たちが練習しているのだろうと最初は思った。この連休中に近所で夏祭りがあるような話は聞いていなかったから。
「外にぎやかいねえ」
「今日祭りか?」
「えっ、これ練習じゃないの?」
靴をはき替えながら、たまたま一緒になった施設の仲間とそんな会話を交わした。
銭湯から外に出ると、祭りばやしの音はさらに大きくなっていた。
「これ練習じゃなくて本番だよ」
施設の仲間が言う。どうやらお祭りのおみこしが来ているようだ。
とにかくにぎやかだった。その空気感的に本物のお祭りで間違い無さそうである。
詩人のくせにその様子を言葉だけで説明できるほどの語彙力が乏しいので、写真や動画に取って添付する方が読者の皆様には分かっていただけたかもしれない。しかし目が見える人が居なかったので撮影できなかったのが非常に申し訳ない。
それにしてもこれだけ周りがにぎやかだと、施設に戻る途中の交差点を渡る時に、真っすぐの方向が取りづらくなりそうで少し不安だった。
「だいじょうぶですよー。真っすぐ渡ってください」
交差点のところまで来ると、ガードマンの人が白杖(はくじょう)を持った私たちを優しく誘導してくださった。とてもありがたかったし助かった。おかげで交差点を無事に渡ることができた。
交差点を渡り終えてからも、祭りばやしの音はまだ聞こえていた。
まさか銭湯帰りにお祭りに遭遇するとは思わなかった。大阪に来てから初めてのお祭りだ。
そういえば実家の方でもそろそろ夏祭りの時期である。夏祭りでは実家の前にもおみこしが通るが、大阪のそれの方が音だけでもかなり派手に感じる。何だかすごい物を見た気分だった。
「外にぎやかかったですねえ。今日はお祭りですか?」
施設に戻ると、入り口の鍵を開けてくれたスタッフさんに早速聞いてみた。
「あーあれはだんじり祭りですよ」
スタッフさんは教えてくれた。
だんじり祭りってこの辺でもあるんだーと少し驚いた。だんじり祭りというと、私の中では岸和田の方でしかやっていないイメージがあったから。
そっかー、あの威勢の良い鐘と太鼓と人々の声はだんじり祭りだったのかー。全国的にも有名なだんじり祭りを、こんなすぐ近くで体感できるだなんてすごい!そういう意味でも大阪に来て良かったなあと思った。