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散乱した詩

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ことばの集まり
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#詩歌

宙の人へ

あの宙が誰かの見た夢なら
瞬く星は笑っているだろうか

光を手にいれたあの人が
寂しくないように

いつかこの夜の祈りが
遠い朝に届くように

私達は何度でも
声を上げて泣くのだ

気づいてしまう

振り向けない貴方は
前に進むことしか知らないような顔で
その足を引き摺って歩いている

きっと立ち止まってしまえば
気づいてしまう

もう二度と
あの星星が巡り合うことはない
もう二度と
同じ世界を見ることはできない

金属の蓋

冷たい金属で蓋をした
穴の開いた君の心は

失ってしまったものの代わりに
何も要らないフリをしている

本当に欲しいものが
分かっている?

どんなに飾り立てても
向こう側が透けているよ

何も必要としないで生きていける
そんな人は何処にも居ないんだ

守るものが違うだけで

守るものが違うだけで

守るものが違うだけで
私達は簡単に敵同士だ

愛しい命を抱いた手で
誰かの最愛を奪っている

私も貴方もただ必死で
世界を守ろうとしているだけ

そうして築いてきた不幸の上に
幸せは僅かに煌めく