見出し画像

あのケアは正しかったのか

手から暮らしを見守るセラピスト介護士「三浦かおり」です。株式会社みうら不動産 見守り事業部に所属し、日々活動中です。

さて、「世界アルツハイマー月間」である9月は、「敬老の日」もあります。認知症や介護について、より考えるタイミングにしたいものです。

最近、過去の学習帳を見直した際に出てきた認知症患者への安心ケア10カ条はこちらです。

  • 相手に安心感を与える

  • 接するときは普通の人と同じように

  • プライドを傷つけない

  • 失敗しても責めない

  • 叱ったり、命令したりしない

  • 説得しない

  • 一生懸命教えようとしない

  • 訴えていることに耳を傾ける

  • 簡潔な言い方を心がける

  • 一人の人間として尊重する

これを読み返した時に思い浮かんだ、ある人がいます。

訪問介護事業所でサービス提供責任者として勤務していた頃の利用者様です。老夫婦のご家庭で、奥様の認知症状が進み、身体介護と生活援助で訪問していました。

そんな中、ご主人が自宅で急死。
奥様は死んでいることに気づかず、
「お父さん起きてこないの」と、あっけらかんとしていたと言います。

その後、葬儀も終え、奥様の一人暮らしが始まりました。
デイサービスを利用しながら、帰宅と同時にヘルパーが訪問。
夕食の配食弁当を配膳し、見守り、就寝までの介助をするというもの。

いつも話す言葉は
「あら、お父さん帰ってこないね」
「どこに行っているんだか」

心配そうにする奥様へ、ヘルパーは毎回、
「お父さんは亡くなって、葬儀も終わりましたよ」
と言い、お仏壇に手を合わせに行くというパターン。
ご家族がそうしていたこともあり、ヘルパーの対応も統一していました。

「あ~そうだった?死んだんだわ」
ほぼ毎回その返答がありました。

毎回、初めて聞くような様子とショックを受けているような表情だった奥様。

先にあげた安心ケア10カ条を見直すと、この対応が間違っていたのではないかとさえ思うのです。
説得し、教えるという行為がもはや無駄で、毎回、本人を傷つけていただけかもしれません。

認知症になっても感情という機能は最後の最後まで残ると言われます。

毎日毎日亡くなったご主人の事実を突きつけられ、傷む心を案じると、他人の私でさえ辛くなります。
「帰ってこないね」
と話を合わせてあげるという対応も選択肢にはありました。

しかし、危険性という部分から物事を考えると、その場で納得させるということも必要でした。ご主人を探しに徘徊するという危険性があったのです。(過去に買い物での徘徊あり)
幸い、素直な性格の奥様は、話にショックは受けつつも納得されていました。ご主人の遺影を見ると受け入れ、落ち着くのです。

ご家族の意向や安全を考えて、その時は万全な判断、対応だったということになります。

介護は決してマニュアル通りにはいきません。
その人の生い立ちや生き方、習慣、性格、周辺環境、他、全て本人を知ることから始まります。

日頃からの関わり、会話がいかに大切か、それに尽きます。
私が大切にしているのは常に相手の立場に立つこと。

当事者になって考えてみる視点

その上で観察力や判断力をいかに養っていくかが重要。

9月21日は世界アルツハイマーデー

認知症はどんな病気か、自分がなったらどんな対応をしてほしいか、考えてみませんか。お子様のいるご家庭は是非、皆さんで話してみて頂きたいです。

認知症を知ることは、未来の為にできることだからです。


いいなと思ったら応援しよう!