やさしい社会を作ること
中学2年生の授業で、王翰「涼州詞」を扱いました。
葡萄美酒夜光杯 欲飲琵琶馬上催
酔臥沙場君莫笑 古来征戦幾人回
辺塞詩の定番です。
生徒には酔いつぶれた経験などありませんから、(当たり前ですが笑)最初は酔っ払って砂漠で寝るとかアホちゃうかという反応でした。
楽しいから飲む、美味しいから飲むというだけでなく、不安に押しつぶされそうになって逃避行動として飲む。
アルコール中毒になる人だって、最初は嗜む程度だったのかもしれません…
飲酒運転は絶対に絶対に許せない行為ですが、厳罰化だけでは根絶できない。個人へのバッシングでは解決しない。(山口くんいつかもう一度輝いてください。)
千年以上前から不安で酒に溺れる人間はいるのですから。
人間は弱い生き物です。弱いから他人を攻撃して自分を守ろうとしてしまう…
今、現在、満ち足りている生徒には、自分が弱者になる可能性があるということは意識しにくいことかもしれません。
日本国内のレベルでも、相対的にとても恵まれているということは、均質な集団の中では認識しにくいものです。
でも、日常のちょっとしたことで悩んだり弱い立場におかれたりすることはあると思います。
部活だったり勉強だったり友人関係だったり、常に順風満帆なことはありえない。うまくいっていたってその中での起伏はあります。
そんな時に、自分は弱いからダメだと思わないでほしい。人間は弱い生き物です。弱くたっていいんです。
もちろん逆境を跳ね返すヒーローもいることでしょう。けれど、万人にヒーローたれと要求することはできない。
むしろ、強い弱いではなく合う合わないという問題だったという可能性も大いにあり得ます。
弱者や異端を切り捨てる集団は未成熟です。
人間の弱さを前提にして、支え合い、助け合う社会の仕組みを作っていきたい。
甘える時は甘える。その代わり誰かのためにほんの少しだけ頑張れる時は手を差し伸べる。
失敗したら居場所が無くなるのではなく、何度も活躍の舞台を探すチャンスがある。
きっと誰か助けてくれるし何とかなるから思い切ってチャレンジしていこう!合わなかったらまた次の舞台を探せばいいさ!
そんな安心感を土台にした社会に子どもたちには生てほしいと思います。学校もね。
ええ話したなあ。
というわけで、僕が挫折した時は生徒諸君どうかよろしくお願い申し上げます…笑
安井直人
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