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よふかし

あるマンガが原作のアニメーションに
吸血鬼の女性と少年が主人公の作品があります。

真夜中に目的もなく町を徘徊している少年が
ひょんなことから吸血鬼と出会い、
そこから2人の物語が始まります。


いわく、吸血鬼はニンゲンにまぎれて暮らしており、
時折血を吸いながら生活しているとのこと。

ほとんどの人々が生きている日中にのみ
生きている人にとっては
決して出会えることのない、まさに特別な存在です。

この物語には複数人の吸血鬼が登場するのですが、
どのキャラクターも個性的だと感じます。

長い期間生きているからこそ、考えが達観している……
言い方を変えれば、ニンゲンとは少しだけ違う
価値観を持ち合わせている吸血鬼ばかり。

そんな吸血鬼とニンゲンが出会ってしまう。

夜だけのスペシャルな時間というわけですね。


さて、吸血鬼(あるいはヴァンパイア)といえば
やはり噛みついて眷属を創り出す
イメージがあるのではないでしょうか。

多くの作品ではそれらは畏怖される対象……
永遠の命を得る代償に夜にしか生きることができず、
人々からも恐れられる存在ですからね。

そうなってしまうのも無理はないかもしれません。

ですが、そもそも彼ら・彼女らはどうしてそんなこと
つまり眷属を増やそうとするのでしょうか?

やはり1人では寂しいのでしょうか。

たしかに太陽の光を全く見ないで、いつまでも1人で生き続けていくわけですから、鬱になってしまうのかもしれません。

それともやはり繁殖しなくてはいけない理由でもあるんでしょうか。

恐らく出ですがほとんどの生物は繁殖することが
生存本能として組み込まれているのでしょうから
そういう能力?が働くのかもしれませんね。

まぁ確かに悩みを相談できる相手は多いに越したことがないと言われれば、
そう言う気がしなくもないですしね。


あるいは、そのニンゲンに理由があるのかもしれません。

例えばニンゲン側がどうしても吸血鬼になりたがっていたからしてあげた
というケースでしょうか。

生きるのが大変な世界です。
すべてから解放されて、ニンゲンを超えた存在になりたい
という願望を持っている人もいるでしょう。

こんな書き方をすると中二病っぽく聞こえてしまいますが、
この病(やまい)は中々治らないと聞きます。

夜の世界で自由に生きてみたいという願望
わからなくはないんですが……。

あるいはどちらかがどちらかに恋に落ちてしまった……
ということかもしれません。

ずっと一緒にいたいと思える存在と出会えたとしても
ニンゲンとヴァンパイアでは寿命が違いすぎますからね。

ニンゲンに吸血鬼になってもらえば、
少なくとも寿命の問題は解決するんでしょうから
ある意味合理的かもしれません。

文字通り永遠に一緒に入れるわけですからね。

もっとも、そういう関係というのは有限性
つまりニンゲンには限られた寿命があり、
過ごせる時間に限度があるからこそ、尊いものなのかもしれませんが……

そういえば

どの物語でもニンゲンから吸血鬼になることは多々ありますが
その反対のことが起きるお話ってあるんでしょうか?

というかなれるものなのでしょうかね。

ニンゲンにはニンゲンの苦労があるように、
きっと吸血鬼には吸血鬼の苦労というものがあり、
それらをニンゲンは知る由もないでしょう。

隣の芝は青く見えますからね。


とはいえ、どんなことがきっかけであったとしても
ニンゲンとヴァンパイアという違う種族が交わり合うというのは
なんだかロマンティックだと思います。

それこそ、何もかもが闇に包まれた夜だからこそ
許される出会いなのかもしれませんね。



冒頭で触れた物語では
少年と吸血鬼は夜に「遊ぶ」ことで
その関係を構築していきます。

人々がいない真夜中に、昼間で遊び足りない分も遊び倒してしまおう
ということでしょう。


人目を気にすることなく
遊ぶことも、誰かに恋に落ちることも自由にできてしまう。

夜の魅力であり、怖い部分です。

そうかんがえてみると、たまにはよふかしをしてみるのも
悪くはないのかもしれませんね。




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