夫婦別姓「事実婚」と「同棲」ってどう違う?
個人のアイデンティティやキャリアを考えて、選ぶ女性も増えている「夫婦別姓」。特に女性が社会で活躍する現代においては、氏名変更の手続きの煩わしさや、キャリアの継続などの理由で、旧姓の使用を続けたいと願う女性は多いようです。
そこで今回は、「事実婚」で夫婦別姓にする場合の流れや夫婦同姓のカップルとの違いをご紹介します。「通称として旧姓を使う」場合はこちらの記事もご覧ください。
「夫婦別姓」にする選択肢は2つ
制度改正への動きが活発になっている「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」。しかし、現時点では法律上、夫婦が別々の苗字を使うことを認めていません。従って、夫婦が別々の苗字を使う場合には
・籍を入れた上で、通称として旧姓を使う
・事実婚をする
の2つの選択肢から選ぶ必要があります。
しかし、内閣府が2017年に行った「家族の法制に関する世論調査」では、30代の男女では6割近くの人が「結婚をして苗字が変わると、何らかの不便を生じることがあると思う」と答えています。
しかも、そのうち多くは「仕事の上で通称を使うことができても、それだけでは対処しきれない不便がある」と考えているようです。
キャリアを大切にする女性の多くは「通称を使うだけでは、仕事への支障に対応するのは不十分」だと考えている方が多いようですね。
男性が苗字変更する割合は?
どうしても苗字を変えたくない、しかし籍は入れたい場合には、もちろん夫が苗字を変えることも可能。しかし、男性が女性側の苗字を選択するケースは全体の5%にも満たないのだとか。
従って、どうしてもどちらも苗字を変えたくないというカップルは、法的な制度が整っていない現状では“事実婚”という選択肢を選ばざるを得ないようです。
事実婚は同棲と同じこと?
それでは“事実婚”とはどのような状態のことを言うのでしょうか?「彼と一緒に住んでいるけど、これって事実婚?」と疑問に思ってしまった方も多いかもしれませんね。
実は“事実婚”には法律上の明確な定義はありません。しかし事実婚が認められるには、
・お互いに夫婦としての認識がある
・周りの人たちも、2人を夫婦であると認識している
・生計を共にしている
などの条件があります。
もしも、事実婚が認められるか不安な場合には、住民票に記載するのが確実でしょう。住民票の“続柄記載”の部分を
「夫(世帯主)」-「妻(未届)」
又は、
「妻(世帯主)」-「夫(未届)」
と記載しておくことで事実婚の証明となります。
事実婚には特別な手続きが必要ないため、もちろん免許証や銀行口座などの氏名変更手続きは一切不要。手続きの膨大さや煩雑さを考えれば、これはとても大きなメリットですね。
子供が生まれた場合にはどうする?
事実婚のカップルの間に生まれた子供は、まずは母親の戸籍に入ることになります。何も手続きをしない場合には、戸籍上「父親」がいないことになってしまうため、パートナーと子供の間に法的な親子関係を持たせるためには男性が「認知」する必要があります。
「認知」をした段階では親権はまだ母親側にあるため、子供の苗字は母親のもの。父親の苗字を使わせたい場合には「養子縁組」をして、親権を父親側に移す手続きが必要です。
税金面ではデメリットも?
事実婚をする場合には所得税の「配偶者控除」が適用されないため、支払う税金は籍を入れているカップルよりも割高に。
また、税金面での大きなメリットである相続税の控除(2020年1月時点で1億6000万まで、または法定相続分相当額)も受けられないため、こちらも支払う税金が高くなる場合が多いでしょう。
キャリアに影響がない?
旧姓の使用を続けたいと望む理由の一つとして挙げられるのが「実績の維持」。研究職やクリエイティブ職に就いている女性は、名前が変わってしまうことで今までの実績が反映されなくなることがあります。
旧姓を使用し続ければ、せっかく積み上げたキャリアが結婚前と結婚後でバラバラになることもありません。
まとめ
「名前」は女性にとっても、男性にとっても大切なアイデンティティの一つ。自分やパートナーのライフスタイルや、今後の人生設計も踏まえ、最良の選択ができるといいですね。
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