ちぴぴ物語
乞われるままに
今日という日が特別なのは、今日にしかない歌の交流があるから。
聞いてくれる人がいてもいなくても、気がつけば毎日わたしはちぴぴを口ずさんでいる。
『亡夫恋』をこの方にお届けしたいと、今日はほんの少しのお時間をいただいた。そのご婦人はそっと涙をぬぐいながら、お話してくださった。「ほんとうに愚痴の無い人でした・・・」
ちぴぴソングがなんのためにあるかなんて、わたしにはわからない。たくさんの音がやってきては去っていく。それをひととき一緒に味わってくださる方がいれば、それはこの上ない幸せな時間だ。
昼下がりのカフェ。しずかに胸に手を重ねて、自分の鼓動を感じてみる。そんなマインドフルな時間に飛び入りで参加した。それはちいさなあたたかい集まりで、ひとりひとりの描く色に響き合うように、わたしは即興でうかんでくるメロディーを奏でた。『はーとの花』。ここにあるだけの唄。
『てくてく』で全員総立ちで踊ってにわかに汗をかき!
『藍深く』『集い』を祈るように歌い、みんなで聞いて、目に見えない何かが立ちのぼるのを感じた。
わたしの日々の感情には雑音も揺れもゆがみもたくさんある。
だけど、どんな日にもちぴぴの歌が流れている。
チューニングを合わせば、それはなんとも楽しそうな、音(おと)楽(らく)の世界。そして世界はそんな音でてんこもりなことをわたしは思い出す。