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オフィーリアの面影

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美術・音楽・映画その他、感想評論ごった煮
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#読書感想文

闇系彼氏に首ったけ-ちょっとした悲劇と美術試論-

恋は突然に20XX年1月8日、AM5:25。 画面が完全にブラックアウトしたノートパソコンの前で、私の頭は真っ白になっていた。 神様。 確かに私は、この『彼氏』様と、2年間別れたいと言い続けてきました。 歴史に名を残すメンヘラで、サイコパスで、クッッッッッソきまじめで、超病み系すぎる『彼氏』様と、別れたいと願ってきましたよ、ええ。ええ。そりゃあもうツイッターのタイムラインを毎日「もうむり」「つらい」「逃げたい」といったワードの連続で荒らしまわるくらい、切望してきましたとも

どんな自分を選んで生きてゆくかについて/読了2024

今年も毎月本を読んだ。2024年読んだ本のまとめ。 January/岡真理『ガザに地下鉄が走る日』 February/キム・ジヘ『差別はたいてい悪意のない人がする』 国の課題図書にしたほうがいいと思う、というのはともかく。韓国と日本はとても状況が似ていて、けれどそのなかで本書がベストセラーになる韓国とそうではない日本の差を考えざるを得なかった/post(1) 無意識にやっている差別から構造的な差別まで幅広く考えられる。でもとくには、9章が印象的で、「不平等な社会が息苦

私たちの絶望と祈り/読了2023

過去5年くらいまともに活字が読める感じではなかったのが今年は毎月読めたので、月ごとに読んだ本のまとめ。感想は殆どツイッターからの再録。 January/山内マリコ『あのこは貴族』 2022年のうちから「2023年の初めに読む本はこれ」と思い、取り寄せた本。 問いは「私が私として生きられる場所はどこか?」ということだと思うけれど、葛藤が浅くていろんな社会課題をつまみ食いするような展開なのでちょっと肩透かしな感じもした。もっと多層的で複雑なテーマだと考えているからかもしれな