6/28 カント『永遠平和のために』
2024/11/13更新
時代背景
「永遠平和のために」は 1795 年に書かれました。
18 世紀の出来事
1789 年 フランス革命
1795 年 バーゼル平和条約
・フランスとプロイセンの間で締結された条約
VolkとNationの違い
Volk (people):民族、人民、民衆
Nation (nation):国民
ロックあたりで「Nation」が「政治共同体」という意味になる
ドイツ
・20世紀以降にVolkとNationが使い分けられ始めた
・カントの『永遠平和のために』での使い方:「国民」という意味に近い
カントの主張
カントの人間観
・人間は放っておけばすぐに戦争を始める性質をもっている
→だから、戦争が起こりにくくなるような社会の仕組みをつくる必要がある
ただ、社会制度をつくるのも人間で、社会制度をつくる人間は「悪」だと困る(完璧な人につくってほしい)
そんな悪人でも合意できるような社会制度・ルールづくりならばみんなが納得できる最低限のルールなのでは?
・ホッブズの考え方と似ている
第1章
第三条項
常備軍
・王様のお金で雇われた傭兵のことを指し、雇われ兵は、自分たちの国を守るという意識が低く、モチベーションの維持が難しい
→国民自ら軍人(国民軍)となり、自国を防衛する自衛戦争についてカントは認める
・一部人を殺しても良い?
フィヒテ(カントの弟子)の批判
・国家が人を殺せとは命令できない
・ただ、抜け道はある
第四条項
・(補足の方にもあった)商業精神
・戦争にはお金がかかるから
第2章
第一確定条項
・国内の政治体制の話
カントのいう「民主制」とは?
カントによれば、国家の形式を区別するには、2つの方法がある
カントはプラトンの国制分類にある「民主制」を前提としている
共和主義の思想
王様がいないこと
世襲に否定的
カントは立憲君主制のようなものを想定していた
チェックアンドバランスをしっかり=三権分立(権力の分立)
モンテスキュー:共和政・君主制・専制の比較
初期アメリカ:トクヴィル『アメリカのデモクラシー』
共同体を通して培われる徳
共同体に貢献することで得られる徳
フィヒテの書評
戦争を行えばお金が回る面もあるからカントが言うように商業精神で戦争を止めるとは思えない
・戦争は利害関係と結びついているのでは?
戦争をなくすためには?
主権(nation state)とは
主権とは:物事の最終決定権
→現在では国家が主権を持っていることになる
・主権と主権がぶつかったときに戦争が起こる
→平和連盟が必要(ただし強制力はない)
強制力がないならばどうすればいい?
・国際法という慣習法に従うというのもあり得る
強制力持たせればいいじゃん!という意見があったら?
・判断を誤ったらどうするか?という問題
・各国の国力の差がありすぎる問題
・5大国がやる気を出せばできる
・現在では国連軍がいる
・朝鮮戦争ではじめて使われた
・フィヒテは強制力を持たせるべきと主張している
集団的安全保障と集団防衛(集団的自衛権)の違いについて
*正当化の論理が異なることがポイント!
・集団的安全保障:内部(仲間)で法に従わない人がいた場合に、アクションを起こす
ex.) 国連
集団防衛:外部から内部(仲間)に攻撃してきた場合に、アクションを起こす
ex.) 日米安全保障条約, NATO
第一補説
・理性を認識するのも限界がある
・自然=人間が理解できる範囲内での法則
・乗り越えてよりステップアップする仕掛けを、自然が試練として与えている
→理想状態に限りなく近づいていく(=進歩史観)
・合理的な理性や悟性を使えば、悪魔のような人間でも大丈夫
【参考文献】
萱野稔人(2020)『100分で名著ブックス カント 永遠平和のために-悪を克服する哲学』(NHK出版)