046 お隣さんの木 と 網戸
ずっと気になっていても、なかなか行動に移せない事がある。
私にとって、その1つが網戸の掃除だった。
我が家は窓が多く、大きく、築年数が古いため後付けの網戸という3つの面倒くささが重なり、なかなか行動に移せず、見て見ぬ振りをし続けていた。
わりと掃除は好きで、掃除を心地良いと感じるタイプではあるので、網戸が汚れて行くことに心地悪さはあった。
今日、網戸ごしに景色を観ていたら、お隣さんの木に、ニョキニョキと新しい枝と葉が生え出している事が、今更ながら目にとまった。その木は数ヶ月前に、落ち葉対策のため、かなり大胆に枝部分で切られていて、当時はそのスカスカぶりに、なんだか寂しくなったものだった。
思わず窓を開け、じっくり観察。
美しい。なんてたくましいんだ。
すっかり魅了され、コーヒーを入れ直し、その様子をぼんやり観続けていた。
わりと都心に住んでいる私にとって公園にでも行かなければ木を愛でることはない。まして街路樹に気をまわしたことは、残念ながらあまりない。
家の中からリラックスした状態で、こんなに近くに木を観れるのはとても幸せな事なんじゃないか。今まであまり感情を向けたことのないお隣さんの木が急に愛おしくなってきた。観てるうちに、パワーを貰ったのか、急にやる気が湧いてきた。
こんなに素敵な木が近くにあるのに、網戸が汚れていてはなんだか台無しだ、それに、網戸を掃除すれば、網戸ごしでも、今よりはクリアに観えるはずだ。と。
そう思ったら、いても立ってもいられなくなり、後付けの網戸という、私にとっての最大の難関をクリアすべく、まずはその構造から把握する行動に出る。なんてことはない、ドライバー1つでどうにかなるではないか。
網戸は外せる。ならば風呂場に運び込み、ザザーっと丸洗い+カビキラーで行けそうだ。また思考がグダグタでてきて動けなくなるのはもうごめんだ。と一気に行動にでた。"1枚づつ網戸を洗い、乾かしているうちに、窓を濡らしスクイーザーでササッ"を1セットに、計5セットをやりきった。
綺麗になった網戸は、思ったよりもはるかに気持ち良かった。
外からの心地よい風と一緒に良い運気が入ってくるような気にさえなった。
私史上最高にしっくりくる網戸掃除方法で、スッキリピカピカになった網戸ごしにお隣さんの木を愛でながら、コーヒーをすするゆっくりとした時間を過ごせた。
これも、お隣さんの木のおかげだ。
もう、お隣さんの木からは目を離せないなぁと思った。