ドラマ『友情』に寄せて
私が山中伸弥先生やミスターラグビー平尾誠二氏のご家族が書いた『友情』がドラマ化されたことを知ったのは、おそろしいことにドラマが放映される、わずか3時間ほど前だった。たまたまテレビをつけていて、そのドラマ化と放映当日だと知ったのだ。
ちなみに私は普段はYouTubeばかり観ている感じで、あまりテレビを見ない。その日はほんとうにたまたまだったのだ。あのVIVANTさえ、週末の3話分まとめてのダイジェスト版をたまたま観てから観るようになったくらいで、興味を持つタイミングが合わないと、ドラマは観ない。という感じなのだ。
そもそも、ドラマを全否定する親元で育ってしまったので、「クラスで話題のドラマだから、どうしても観たい」という理屈が通らないのだ。
今は学生ではないので、自分の意思で動ける貴重な人生の自由時間だ。
私は原作本を読んでいない。ミスターラグビーのことはふぁっと知識というか、平尾さんの名前はわかっていないが、顔や存在は知っていた。というのも、平尾誠二氏はよく男性ファッション誌に記事があった記憶がうっすらとあるのだ。男から見てもかっこいい男性像が平尾誠二氏だったのだと思われる。ただ、絶対的な存在だったことを知ったのは間違いなく、葬儀映像だった。
私はこの時に、IPS細胞の人とラグビーの人が
親友だったとはじめて知ったのだ。
嗚咽しながら弔辞を読む山中伸弥先生を今も思い出すことができる。そのくらいあの葬儀の映像は市井の人である私にも、悲しみが伝わるきつい映像だった。
今日の3時間後にあの葬儀のシーンをまた観るのか。という気持ちはあった。ラストシーンは知っている。だけど、
あの絶対的なミスターラグビーの話を観たい。と、思ってしまったのだ。
身内にがん患者がいる。だから、がん家族の気持ちもわかる。あれは独特の苦しみなので、がん患者には当人しかわからない苦しみがあり、周りの家族にもその当事者家族にしかわからない苦しみがある。だから、身内にがんサバイバーがいない人にはわからない部分はあったと思う。
それでも。
とにかく、主役ふたりの化けっぷりがすごい。こんなに寄せてくるかー!というくらいふたりとも寄せられるだけ寄せてあげにいっている。こんなに寄せられるか?というくらいに当人に寄せている。すごいな、俳優という仕事は。という感じで。本木雅弘氏は現実に有名な身内ががんになっているので、どう衰弱していくか知っていたかもしれない。酷な仕事だ。滝藤賢一氏もすごくて。顔や外見的に似せられるところはすべて近づけにいって。
ふたりとも、本人素材と4枚写真を並べて裏返したら、神経衰弱というトランプゲームが成り立つレベルでした。。。
はじめから、ラストシーンはわかっている。このドラマのストーリーとしてのすごいところは、登場人物がすべて『誰かのために行動している』ということだ。自己肯定感を高めるために自己投資とかいう謎にお金を使うとかいうドイヒーは
存在しない!!!
誰かが、誰かになにができるか。それはなによりも、時間の使い方だ。人生が有限である。そのために、
人は人になにができるか。
これが最大のテーマだと思う。ただそれが成り立つのは間違いなく、人柄がものをいう。というやつだと思う。平尾誠二氏はタイトルがある人だ。変な話だが、世の中にはタイトルがある人に群がって、自分にはなにもないのに、タイトルがある人から、お金やタイトルを汚そうとする人という存在がある。高い場所にいる人ほど、落下するダメージは大きい。同じことが山中伸弥先生にも言える。タイトルを持つふたりが、出会ったとしても親友になれるか?というと、このふたりは成立したが、他の人だった場合はわからない。
親友とは、口に出さなくとも、いつもお互いを思いやっていられるか。ということだ。それは優しいことじゃない。改善せよ。これはわかる人とわからずやに大きく分かれる。改善せよ。心の持ち様で悪口に取れてしまうからだ。改善せよ。をいうには非常に勇気がいる。嫌われてもあなたの人生がよくなるならば。これは屈強な人間しかできないことだ。これは偏差値や年齢を重ねたからできるかというと、それはまったく関係ない。まっすぐな人が人の人生を現場よりよくするために、それぞれがそれぞれの知識や見解をこれはあっているか、間違えているか、確かめながら悪意なくできることをやる。
誰かが誰かのために。
それは、実はラグビーの精神そのものだった。ラグビーとはそういう世界らしい。サボり出す蟻が存在しない世界なのだ。
しかし、余命2ヶ月でしたか。それを超えていって、そんな中でも最期の最後まで、
ラグビーの将来のことを思っていたんですね。かっこいいがすぎる。ミスターラグビーと山中伸弥氏。
最初の方のラグビーボールを投げたり受け取ったシーンは、現実のフィルムシーンを再現したものであることを
あなたにも覚えておいてほしい。
そんな素敵な間柄だったようですよ。
ドラマ制作の皆様、ありがとうございました。