太陽のない街
徳永直 30歳。
印刷会社の労組に参加し解雇された経験を書いたプロレタリア小説「太陽のない街」日本プロレタリア作家叢書4。労働者出身ということで世界から注目。ドイツ語、ロシア語、英、仏、スペイン、中国語に翻訳される。
装丁は柳瀬正夢。ハンマーをもっている男性が印象的です。
本文中の白黒の挿絵は目黒生。
著 者 徳永直
発行所 戦旗社
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世界大恐慌の引き金となった1929年10月米国の株式大暴落。その2ヶ月後にこの本が出版されました。4年後の1933年、小林多喜二の拷問死。それがきっかけで徳永直は同年にプロレタリア作家同盟から脱退宣言。
そして1937年(昭和12年)に「太陽のない街」を自ら絶版としていますが、戦後の1946年(昭和21年)に再販。なにはともあれ徳永直はなんとか無事に困難な時期を生き抜きました。
それにしても20世紀に入ってからの世界情勢がめまぐるしい。この時代の小説家や芸術家の人たちにとってまさに暗黒の時代・・