#3 まつりのうらで「月極コイン駐車場パーキングサイト」
ボーリング・イエロー・ストップ。
俺らのたまり場はいつだって黄色で線引きされている。
お決まりのやつらもいれば、県外ナンバーの流者がいたりする。
出会いはいつだって風任せだ。
旅の話に盛り上がったり、主人の愚痴を喋ったりしているうちにカーラジオから蛍の光が流れ出すのもしょっちゅう。
ああ、Sleep,Sleeep.あくびが出ちまう。
といっても俺らは夜に集まるから、あの曲が流れ出すのはいつも朝方なんだけどさ。
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「あそこのカーテンの奥には誰かいるのかな」
ミラが言う。
気の置けない良いやつだが、自分の思索癖に俺を巻き込んで来そうな勢いだ。無視を決め込む。
「オレもさ、毎日24時間あそこを見てるわけじゃあないからさあ、わっかんねェーよな」
「...まあそうだな、俺らがいないときは開いてンのかもな」
答えちまった。
開いてるときなんてあるわけがない。
「bBは見たことあんのか?」
「一度だけな」
「マジ?!中身はどうだった?」
「ジジイが座ってたよ、......骨だけになってたけどな」
「ぅぉ」
「は、早く逃げよう!!」
「バーカ、パチに決まってんじゃねーか...」
「パチかよ...肝が冷えたぜ」
「なあ、今日空いてるかい?」
「そういう聞き方、友達なくすぜ」
「...よかったら、この市中のコインパーキングを見て回らねェか?」
「はあ?」
「ミイラジジイがいるならョ、どこかに財宝が眠っててもおかしくねんじゃね?」
どこもかしこも駐車場。
俺たちは平凡な自動車のたまり場”ボーリング・イエロー・ストップ”から脱出しようと企てる。
「ミラ、今日はお前に相乗りするぜ」
毎夜のことだ。
このお高く留まったバンパーを跨ごうとしてみる。
夜中なら怪しまれることもない。さあ、そおっと、そおっと...