【読書感想】誠実な浮気って何?
こんにちは、歯並びです。
突然ですが“ポリアモリー”という言葉、
皆さんご存知でしょうか?
日本語にすると“複数愛”。
つまり、複数人と同時に交際する恋愛形式のことを指します。
……えっ、浮気じゃん?
そう思ったそこのあなた。
ぜひ、奥田亜希子さんの『愛の色いろ』を読んで下さい。
4人の複数愛者が一軒家で暮らしているのですが、
もちろん、ただ平穏に暮らせる訳ではなく。
谷あり山あり、どん底があり…
それでも前を向くしかない〜だって人生だもの〜
と、いうようなお話です。
この話を読んで私は、恥ずかしながら自分が差別主義的な思考をしていることを思い知りました。
レズやアセクの友人がいるのですが、
正直なところ彼女達には何も思ったことがありません。
カミングアウトされた時も、
「へぇ、そうなんだ」
以外の感情が浮かんでこなかったのです。
なので私は“そういう人々”に一定の理解があると、
自負していました。
ところがどっこい。
読了後に溢れた言葉は、
「申し訳ないけど、マジで周りにいて欲しくない」
というもの。
冒頭の「浮気じゃん」という気持ちが、
残念ながら変化しなかったんですよね…
もちろん所々に、納得する箇所はあったんですよ!
例えば
「猫好きが全猫を平等に愛する気持ちに近い」
「人をモノ化して所有物みたいにする方が怖い」
「嘘をつかず誠実にお付き合いしている」
という点は理解することができました。
そりゃ猫複数と暮らしてたら、全員平等に大好きだし、
みんなに同じご飯もあげますよ。
ただ、登場人物達は既婚者とも構いなく交際してるんですよね。
じゃあ、もし夫の周りにポリアモリーな人がいたら?
私の友人がポリアモリーだったら?
そう考えると、身が竦む思いがしてしまい…
たまにゲイを過剰に嫌がるおじさんに対して、
「関係ないのに何言ってんだコイツ」
と思ってましたが、
彼等の気持ちがちょっと分かってしまいました。
つまり、今の自分の立場を脅かされる存在に恐怖してるんです。
そんな自分の矮小な気持ちに気がつくことができる本。
私にとって『愛の色いろ』は、
そんな存在になりました。