【連載】私がライターという仕事を選び、今も研鑽を続けているワケ【その4:在宅ワークの挫折とクラウドソーシングとの出会い編】
連載4本目です! 前回は私がSEOライターからWebコンテンツライターに成長し、会社をやめて1ヶ月間の在宅ワークをやるところまで書きました。
1ヵ月しか続かなかったのには理由があります。「えっ、在宅ワーク講師をやってるのに、そんな失敗してたの!?」と驚かれそうですが、失敗があるから、やってやろうと思ったんですよ(笑)。
仲間のいない「在宅ワーク」は孤独すぎる
会社を辞めて、毎日家にいました。1ヶ月分の仕事が手元にあり、納期までに指定の方法で記事を納品する。それが私のやるべきことでした。「どんなスケジュールで進めれば間に合うのか?」を自分でエクセルにまとめ、印刷してカレンダーがわりにしていました。
朝起きて、記事を書いて、食事をとり、また記事を書いて、夜が来る。
あまり遊ぶ時間はありませんでした。報酬も月に数万程度。会社で働いていたときの半分です。貯金をする余裕もなく、大学時代の友人に旅行に誘われても断るしかありません。外部ライターとして受けた仕事だけでは足りず、副業サイトのShinobiライティングを使って少しでも収入を増やそうと手を動かしていました。
会社をやめて職場の人とも会わない。友だちとも会えない。親と一緒に同居はしていて、仲が悪いわけじゃなかったけれど、仕事のことを相談できる人ではありません。
とても、孤独でした。私はあまり友人は多いほうではなく、ひとりで行動するのも苦ではないタイプです。それなのに、在宅ワークというのは途端に世界が狭くなったような。「こんなはずじゃなかったのに……」と。
作業の効率も落ちていきます。自分で決めたスケジュールに間に合わない……。時間の使い方が間違っているのかもしれない。100均でストップウォッチを買って、もっと厳しく追い込みました。なんとか、ギリギリ。
このままじゃあいけない。書くことが、嫌になってしまう。
2回目の転職活動、ハンデがあると採用してもらえない
「また外で働こう!」。そう考えた私は、新しいライターの仕事を探していました。このとき2013年11月です。都内のバイト情報をくまなくチェックして、良いところがないか探していました。11月15日(金)、某ハウツー情報サイトの編集スタッフ面接に行きました。
Webライターの経験があったおかげで、面接には呼ばれていました。1つ前に働いていた会社のネームバリューも、私にできることを示してくれるアピールポイントになっていました。でも、働く条件の話になると……。
「週3日で働いてくれている子もいるけれど、できれば週4日~5日オフィスに来てほしい」
私が「すみません、それは難しいので週3日を希望しています」と言うと、面接担当者に怪訝な顔をされました。「なぜですか?」。当然聞かれます。どう答えたらいいかわからず、言葉に詰まってしまい、「通院があるので、前の会社でも週3日で働かせていただいていました」と話しました。微妙な空気感のまま面接は時間切れに。数日後、この会社から届いた合否メールは、不採用でした。
こういうパターンの場合、持病を持っているとだいたい不採用になります。「そういう人でも大丈夫です」と言ってくれる会社は、私にとっては正義の味方のように心強い存在です。そんな社会の縮図のようなものが、面接でさまざまな会社に足を運ぶことでわかってきました。
クラウドソーシング会社に面接に行き、即採用へ
2013年12月、今度はクラウドソーシングの会社に面接に行きました。渋谷駅から徒歩数分の雑居ビル。小さなエレベーターでオフィス入り口に到着し、スーツ姿でどきどきしながら面接担当者を待ちました。
当時、まだ社員が20名ほどしかいなかった、そして現在は上場し業界大手に大躍進する「株式会社クラウドワークス」です。
クラウドワークスは制作会社でもなければ、ライターを抱えるような編プロでもメディアでもありません。それでも私が応募したのは、「クラウドワークスというサービスに興味を持ったから」でした。
Shinobiライティングでの副業の延長で、在宅でできるライターの仕事を探していたときに、ライター募集の案件を出しているクラウドワークスが検索にヒットしました。でも、そのときはまだどうやって仕事に応募すればいいか、どうすればライターの仕事ができて、報酬が得られるのかがわかりませんでした。
唯一、目に留まったのが「ユーザーインタビュー」。目の病気で外で働くことが難しい女性のデザイナーさんが、自宅で『自分の好きな仕事をしている』というインタビューが顔写真付きで載っていました。
(ああ、これだ……)
直感めいたものがありました。私のやりたい働き方は、きっとこれだ。強い憧れがありました。そのときの私は「在宅ワークをやりたいと思っているけれど、まだうまくできない」。クラウドワークスという会社で働いてみたい。そうすれば、私はなにか、希望が見えるのかもしれない。
応募したのは「ライターサポート」の仕事でした。クラウドワークス上でライティング案件をやっているワーカーさん(登録者さん)の業務支援です。他の会社ではあまりいい顔をされたなかった私に、面接担当者のお二人は、
「良いじゃん! ぜひウチに来てほしい!」
(えっ……本当に、いいの?)
私は心配になって、「本当にですか!?」と聞いちゃいました(笑)。でも、本当だったようです。通院が必要なことも、週3日の勤務がいいということも言ったのに「別に問題ない」と。そんなことよりも「ライティング経験があるならぜひ来てほしい」。その場で採用、2014年1月入社が決まりました。
全世界のライターさんたちが私に教えてくれたこと
クラウドワークスではその後、4年間も働くことになります。長く続けようと思っていたというよりは、「色々なことにチャレンジさせてもらえた」「会社もどんどん成長して飽きなかった」「人に恵まれた」、あとは「私がちゃんと役に立てている」実感があったからだと思います(前者は環境要因で、後者は私自身がどう思うか、ですよね)。
クラウドソーシングというサービスは、その後急速に普及することになります。当時、私がクラウドワークスに入社して思ったのは、
「ライターって、世の中にこんなにたくさんいるんだ……!」
私にとってのライターといえば、前にWebコンサル会社で一緒に働いていた数人だけでした。でも、クラウドワークスというプラットフォーム上には数え切れないほどのライターさんが登録しています。年齢も20代から60代くらいの方々まで幅広く、住まいもバラバラ。女性で主婦の方が多いけれど、副業として在宅で仕事をしている正社員の方や男性のライターさんだっています。日本だけでなく海外在住のユーザーさんも。その全員が私にとっては「仲間・同士」であり、「ライバル」です。
「クラウドワークスのライターさんたちも頑張っている。だったら私も、頑張らないと!」
記事が納品されたタイムスタンプを見ると、夜遅い時間に作業している人もいれば、早朝の4時ごろに納品してくれている人も。みんな、頑張っている。
顔も名前も知らない人たちに励まされていました。私は自分のために入社して働いていたけれど、働き始めたら「ライターさんたちのために頑張りたい」という気持ちも生まれていました。
記事チェック&編集スキルが身についた
業務支援では、まずはライターさんの書いた記事チェック、リライトからやり始めました。今まで記事を書いたことしかなかった私が、「他人の記事を見て、手を加える」ということもやるようになります。正しい記事を書けるスキルがあれば、どこが間違っているのかがわかり、その箇所を削除し、修正して新しい記事に作り直すことができます。
こういった「編集・リライトスキル」は、ライターよりも一段階上の技術だと思います。ただ執筆するだけだと仕事は限られるので、「仕事の幅を広げる」「できることを増やす」という意味では私のキャリアに非常にプラスとなりました。今現在でも、毎月継続で発生する編集業務は、私の収入の下支えとなってくれていますよ。
実際にやってみたら、ディレクションは私には合わなかった
クラウドワークスではディレクション業務も、一時期やりました。わかったことは「私には合わないみたい」ということ(笑)。
ライターのキャリアで言うと、キャリアアップの方向性として「編集・校正もやれるようになる」のほかに「ディレクション業務も受け持つ」があると思います。ディレクターは数人・数十人のライターを取りまとめるチームリーダー、上層業務です。ディレクターのほうが報酬は高く、正社員を目指すなら募集が多いのはディレクター職になります(ディレクターが編集・校正を兼ねる現場もあります)。
私にとって「ディレクションの何が嫌だったか」というと。
・記事制作ができない、直接記事をつくる仕事ではない(業務はライターさんとのメッセージやり取りや全体管理が中心)
・一度にたくさんのことをやるのが苦手(1つのことに集中したい)
・ライターさんは毎日稼働しているので、ディレクションも週5対応しないと連絡漏れが出る
やろうと思えばできなくないけれど、私には「記事をつくるほうが楽しい」という感覚でした。今もフリーランスで仕事を受けるにあたっては、「ディレクションメインではやらない」と決めています(必要な連絡対応はする程度にとどめています)。
このあたりは適材適所、役割分担があると思うので、まずは一回やってみることが大事なのかな~と私は思います。フリーランスという働き方ならば、自分でやりたいことを選べますからね。苦手なことを無理してやる必要はないと思います。その意味では私は、幸せな働き方ができているのかなと、今このnoteを書いて感じました。
【次回予告】「記事の内容が薄い」と注意されてしまった私
今回の話はここまで。最初のころは記事チェックが中心だったのですが、あるタイミングで「案件立ち上げ時のサンプル記事執筆」もやるようになりました。そして、某案件でも500字ほどの記事執筆をしたのですが、ずばりひと言、「記事の内容が薄い」と言われてしまったのです……!(大ショック!! 今でも覚えてる!!笑)
ライターの「記事の品質を上げる」という課題について、次回は書きますね。今回も最後までお読みいただきありがとうございました◎