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プラスチックを捨て、健康を得よう
◆マイクロプラスチックはどこから
マイクロプラスチックとは、5mm以下のプラスチックのことですが、
0.1mm以下の微細なものもあります。
マイクロプラスチックはどこからやってきたのでしょうか。
廃棄されたペットボトルやレジ袋、化学繊維の衣類の洗濯、合成洗剤や柔軟剤、化粧や洗顔剤、摩耗したタイヤなどが海に流れ着き、
分解されてマイクロプラスチックになります。
それらを魚が食べ、その魚を人間が食べる。
プラスチックは人間に還ってきます。
大気中を漂っているマイクロプラスチックもあります。
◆マイクロプラスチックを食べたらどうなる?
マイクロプラスチックをメダカに食べさせた実験があります。
(メダカさん、かわいそう)
20μm(0.02mm)のマイクロプラスチックを食べさせたところ、
胃腸から排泄されましたが、
2μm(0.002mm)のマイクロプラスチックの場合、
排出されにくかったと報告されています。
プラスチックは生物にとって異物です。
胃腸に付着したプラスチックに対して、
免疫細胞が集まってきて炎症を起こすことが予想されます。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の患者では、病気が重症なほど、便に含まれるマイクロプラスチックが多いという報告があります。
マイクロプラスチックによって腸の病気が発症したと断定するのは、短絡的な勇み足ですが、腸の病気にマイクロプラスチックが関係している可能性は高そうです。
◆海鳥さんかわいそう
プラスチックに含まれる添加物が、海鳥や魚の脂肪や肝臓に蓄積されることが分かっています。
例えば、世界の海鳥32種のうち22種の脂肪に、プラスチックの添加物が蓄積していました。
オーストラリアの海鳥(アカアシミズナギドリ)の調査では、
プラスチックの摂食量が多い海鳥では、コレステロールや尿酸値が高いことがわかっています。
プラスチックを海鳥に食べさせた実験では、
腎臓に異常を起こす遺伝子が発現したり、腎臓が軽くなっていました。
◆危険は人間にも
子宮内膜症の患者と健常な人について、
血液中のビスフェノールA(プラスチックの添加物)を測定したところ、
子宮内膜症患者からビスフェノールAが多く検出されました。
ペットボトルで水を飲めば、水道水に比べて20倍のマイクロプラスチックを取り込むことになります。
日常生活に溶け込み、なくてはならないプラスチックですが、
それによる健康被害が、今後明らかになってくると思われます。
◆不便を選ぶ決断
プラスチックの衣装ケースにしまっていた衣類は、
異様なニオイのため、一度洗濯してからでない着れないほどです。
プラスチックの「便利」「安い」と引き換えに、
健康がむしばまれています。
「健康」を得るため、「不便」「高い」を選ぶ決断が、
今後必要なのではないでしょうか。
参考文献
1)高田秀重:「マイクロプラスチックと私たちの健康」,月刊保団連 1366:40-46, 2022