
筋トレ女子は膠原病になりにくい!?
◆病気の男女比
医学部の授業で、いろんな病気について学びます。
病名、原因、症状、など。
そのとき必ず出てくるのが「男女比」です。
男女比とは、その病気が男性がなりやすいのか、
女性がなりやすいのかを表すものです。
例えば、男女比「1:1.2」は、
男性10人、女性12人の割合でその病気になるということです。
多くの病気は、性別に大差はないのですが、
男女比に大きな差がある病気が幾つかあります。
圧倒的に女性に多い病気が「膠原病」です。
◆膠原病とは
膠原病は関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、全身性強皮症、シェーグレン症候群などの「自己免疫」の病気の総称です。
「自己免疫」とは、何でしょうか。
小学生のとき、ヘビが自分のしっぽを噛んで輪になっている絵を見たことがあります。

「この後、このヘビはどうなるでしょう」
「どんどん自分を食べて、最後、ヘビは消えてしまうのか」
との問いかけがありました。
それは笑い話ですが、タコを生け捕りして容器に入れておくと、
おなかをすかして自分の足を食べるそうです。

これとは少し違いますが、「自己免疫」とは、
自分を攻撃する病気を言います。
「免疫」とは、外敵をやっつける仕組みのことで、
例えると自衛隊のようなものです。
「自己免疫」とは、自衛隊が日本の街を破壊しているようなものです。
本来、免疫は精巧にできており、敵をしっかり見分けて攻撃します。
何らかの原因で誤作動を起こし、自分を攻撃するようになったのが自己免疫の病気です。
自己免疫の病気の「膠原病」が、なぜ、女性に多いのか。
よく分かっていませんが、堀江重郎教授は、興味深い仮説を唱えています。
◆男女で異なるホルモン
男女の体の作りはほぼ同じですが、決定的に異なるのは、
男性は精巣、女性は卵巣を持っていることです。
それに伴い、男性はテストステロン、女性はエストロゲンなど、ホルモン分泌が異なります。
「女性に膠原病が多いのは、テストステロンが少ないからではないか」
と堀江教授は述べています。
何でもかんでもテストステロンのせいにするのはどうかと思いますが、
一理あるかもしれません。
もしそうだとすると、仮説に次ぐ仮説ですが、
筋トレによって膠原病が予防できるかもしれません。
筋肉からテストステロンが分泌されるからです。
思い起こせば、膠原病の人に「筋トレ女子」はいませんでした。
参考文献
1)堀江重郎:『LOH症候群』,角川新書,2021