〔介護を学ぶ13〕介護の勉強 いつ始めるの? 今でしょ!
◆介護の目的
何をするにも目的が大切です。
「希望する大学」
「就きたい職業」
「達成したい夢」
目的がはっきりしていると、達成までの手段もおのずと決まってきます。
目的があいまいだと、頑張れませんし、
目的も達成できないかもしれません。
介護の目的は、「家族みんなが幸せになること」といえるのではないでしょうか。
◆一億総介護時代
昔は、「介護は嫁がするもの」と思われていました。
今日は、介護は高齢者だけでなく、精神・知的・身体障害者の介護、依存症や引きこもりの家族の介護など、広い意味を持つようになりました。
「人間が人間を助ける」のを介護とするならば、
介護に関係のない人はなく、
まさに一億総介護と言えるでしょう。
◆要介護者、主介護者、キーパーソン
1950年代は、1世帯平均5人だったのが、
2013年には1世帯平均2.5人と、60年間で世帯人員が半減しました。
これは、家庭の中に「介護力がない」ことを示しています。
惣子さんの場合を見てみましょう。
介護を受けているお父さん(要介護者)と、
介護をしているお母さん(主介護者)は2人で暮らしています。
娘さんの惣子さんは、結婚して別居しています。
こんなパターンが多いのではないでしょうか。
ここでキーパーソンが、実は惣子さんなのです。
用語をまとめてみましょう。
要介護者・・・介護を受ける人。この場合、お父さん
主介護者・・・直接介護をする人。この場合、お母さん
直接介護をするお母さんがキーパーソンと思いがちですが、
間違いなく、キーパーソンは娘さんでしょう。
直接介護する主介護者は、心身ともに余裕がありません。
介護という大海原で溺れ、周りも見えず、
正しい判断ができかねないこともあります。
娘さんは、少し離れたところから介護を眺めることができます。
どうすることが、お父さんのためになるのか。
どうすれば、お母さんが楽になるのか。
どうすれば、私を含めて、家族みんなが幸せになれるのか。
冷静に考えることができます。
◆介護の勉強はいつから
介護の勉強はいつから始めればよいのでしょうか。
主介護者になってからでは遅いと言えましょう。
家族が主介護者になった時が、「その時」です。
「自分は主介護者でないから関係ない」と目を背けていては、もったいないことです。
順番通りなら、これからの人生は次のようになります。
①父を介護する母をサポートをする
②母や義母の介護をする
③夫の介護をする
④自分が介護される
恐ろしい話ですが、これが一番平和な順番なのです。
親の介護の前に夫の介護が入ったり、子どもの介護をすることになったら不幸です。
何より一番不幸なのは、自分が先に要介護者になってしまうことでしょう。
身内に要介護者があり、自分が主介護者でない時が、最も介護の勉強ができる時です。
ともに介護を学んでゆきましょう。
参考文献
1)東田勉:『やさしすぎるあなたがくたびれないための介護ハンドブック』,大和書房,2019
2)NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン:『「家族介護」のきほん』,翔泳社,2021