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必ずしもその場に行く必要はなく、ただそこにあるだけで豊かになれる

「東京で忙しい日々に追われている。その同じ瞬間に、アラスカでクジラがこうして飛び上がっているんだということを知れただけでいい」

星野道夫と一緒にアラスカへ行った編集者のことば


星野によると人間にとって大切な自然は2つある。

1つ目は毎日の暮らしの中で見る身近な自然、
2つ目は日々の暮らしの中では関わらないけれどもどこかにある遠い自然である。

星野はその遠い自然に対して必ずしもその場に行く必要はなく、ただそこにあるだけで豊かになれると述べている。

また遠い自然を悠久な自然と言い換えて、それと出会うことや意識することですごく大きな力を得ることができる、生きていく上で非常に大きな力になる気がするとも述べている。

それではなぜ遠い自然が必要なのか。

それは私達人間が生きていく上で2つの多様性が必要だからだという。
1つ目は生物の多様性で、人間だけが生きているわけではなくいろいろな生物が生きているという多様性である。
2つ目は人の暮らしの多様性で、それぞれが皆違う価値観で生きているのを見るとホッとするのだという。

私は「人の暮らしの多様性」があることでホッとするということには共感した。
YouTube で「生きることがしんどい 日本人へ」という動画を見たことがある人はいるだろうか。

アフリカ人 YouTuber が自身にある DM が届いたことを きっかけに撮影した動画だ。

アフリカの自然や質素な村を映しながら、「お金がなくてもここで楽しく生活する。貧しくて一番幸せな場所だ。」と語る。

「死ぬな」というのではなく、「アフリカに来て農業しよう」という言葉が印象的 だった。

当時の私はこの動画を見て心底ホッとした。自分が生活しているところだけが全てではないと思えたからだ。

星野や編集者もアラスカの生物を見て同じような気持ちになったのかもしれない。

ただわたしは、大自然が遠くにあるだけで、例えばアラスカに大自然があるだけで、自分が豊かになれる、という星野の言葉はイマイチ、ピンときていない。

まだ、わたしが大自然のあるところへ訪れたことがないからかな。
わたしも、近くに行ったら感じられるとかではなくて、東京で普通の生活をしている中でも、ふと思い出すような遠くにある大自然からのパワーを感じてみたい。

目の前のことしか見えていない現代人への批判と、
見えていなくても想像することの大切さを伝えているような気がしてならなかった。


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