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ここ数年で一番面白かった
小田嶋隆の追悼トークイベントに参加した。
親しくしていた武田砂鉄と能町みね子のトークと、平川克美が経営している喫茶店。
能町「小田嶋さんのコラムは始めどうでもいい話が続いて、最後に本質がきますよね」
うーん、どういうことなのかな?
話を聞いているうちに意味が分かってきた。
前置きが長くて、後半に言いたいことが爆裂することか!
確かにそうだったな。
じわじわ笑いがこみあげる。
砂鉄「小田嶋さんは誰にも頼まれていないのに、道路の真ん中に立ちはだかって敵と戦っていましたよね。
今思うと大分風避けになってくれていたことに気づきます。
自分が嫌なこと言われて寝て起きたら、小田嶋さんが成敗してくれた後だったことがあります」
確かにそうだったな。だから好きだったんだよ。
砂鉄「ナンシー関さんが『ヒロミは若手芸人が求められる盛り上げ役を免除されていると思っていることが許せない』と何回も言及されていましたよね」
あーー!そうだった。
ナンシー関のファンだった私の記憶を揺さぶる。
砂鉄「ナンシー関さんは『長嶋一茂さんのことを、何を考えていて何を考えていないのかが分からない』とおっしゃっていましたよね。」
言ってた!そのセンスがたまらなかった。
砂鉄「家の落書き問題もありましたよね。
『バカ息子!』と書かれて『うちには息子はおりません』とおっしゃっていたことが思い出されます。
普通に考えて『バカ息子』と書かれたら自分のことだと思うのですが、そう思わない所が息の長い秘訣なのかも知れませんね」
もう声出して笑った。
だから好き。
どうでもいい自分語りもなく会場を沸かせ、二時間があっという間だった。
大満足。
さすが一流の言葉のプロだ。
トークが終わり喫煙所にいると、マスクをかけた上品な老紳士がきたので軽く挨拶した。
「明日手術だっていうのに絶対ダメなんだけどなあ」と言いつつ、加熱式タバコに火をつけている。
「明日手術なんですか?……………
あ‼️そうじゃんそうじゃん‼️」
と指差しながら叫んだ。
(無礼者め)
先ほど挨拶していたオーナーの平川克美だったのだ。
マスクしていたから気がつかなかった。
「もう、吸っちゃえ吸っちゃえ!」と気安く言った。
「ここ、いい町ですね。
私の将来の夢はシングル中高年女性とスープの冷めない距離で助け合いながら暮らすことなんですよ。
ここは昔ながらの商店街もあるし、裏を覗くと安そうな物件もあるし、超好みです」
と誰も望まれない自分語りをした。
平川さんは優しく応対してくれた。
将来移り住む第一候補になった。