「女は死なない」と痴漢
室井佑月が好きだ。
ほとんどのメディアでは政権批判や都合の悪いニュースを放送しなくなってしまったが、いつも自分に正直に意見を言い、取り繕わない姿勢がいい。
その室井佑月がチャリティーイベントをやっているらしい。日本にはお腹いっぱい食べられない貧困の子どもがいることを知って「見て見ぬ振りはできない」と始めたという。自分の乳ガンを公表し、入院手術が決まっても予定通り出演すると聞いて、さっそくチケットを取って出かけた。
出演者は、他に小沢遼子、少年院上がりのアイドルという戦慄かなの。
会場はドアもまともに閉まらないボロボロのライブハウス。客層は中年以上の男女6:4くらい。思ったよりもオタクっぽい人(推定120㎏以上ありそうな方)が多かった。そこはアイドルがいるからか、室井さんのファン層が広いのか。ぎゅうぎゅう詰めの満員。
イベントはぶっちゃけトーク満載で盛り上がり、みんな大声で笑っていてとても楽しかった。あちこち飛びまくる話を、戦慄かなのさんが仕切ってまとめていた。頭いいな。
私は通路に置かれた椅子に座っていたが、途中から異変を感じた。
後ろのオタクっぽい男性(120㎏以上ありそうな方)の膝が、私の尻に当たるのだ。
振り返るとその人は行儀良く座っており、膝も届かない位置にある。
不思議に思いながらも前を向くと、 また尻に何か当たる。振り返る。巨体をちんまり縮こませた大人しそうな男性。何もない。傘が当たっているのかも知れないと思い、下も確認するが何もない。前を向く。また尻に当たる。そんな事を何度も繰り返した。
舞台ではトークが一段落して、観客席も明るくなった。
すると、後ろの席の男性が後ろに退いた気配がした。それからは尻に何かが当たることはなくなった。
やはり痴漢だったのだ。
こういう話をすると「勘違いでしょ?」「自意識過剰なんじゃない?」「尻を触られたくらいで大袈裟だ」という声が男性のみならず、女性からも飛んでくる。私は若くも綺麗でもないから余計にだ。
大人しそうな男も、機会があれば平気で痴漢できる。
悔しかったが、私はいつものように何も言わず会場を出た。
早く離れたかったからだ。
痴漢は犯罪だが、日本では声を上げた被害者の方がめちゃくちゃにバッシングされる。無かったことにされる。
性被害者が声を上げられない土壌をみんなで守っているのだ。
これを何とか変えていきたい。
私たちの代で終わらせたい、と強く思う。
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