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当たり前の先の、心地よさ。自分らしい住まい方を見つけてみる

 仕事から帰宅して、玄関のドアを開ける。靴を脱ぎ、そのまま部屋着に着替えようとクローゼットへ向かう――そんな当たり前の動線すら、疲れ切った体には、時として大きな壁となっていました。

 スーツ姿のまま、いすに座り込んでしまったり、ベッドに腰かけてしまう。ちょっとだけのつもりが、気付けば夜は更けている。散らばった洗濯物を片付ける気力も失せて、また一つ、後回しのタスクが増えていく。

 そんな生活に転機が訪れたのは、ここ1、2年のこと。環境の変化とともに家で過ごす時間が増え、悪循環との決別を決意したのです。

 「もっと心地よく暮らせるはず」。その一心で、住まいの在り方を見直し始めました。

 最初の見直しは、洗面所でした。玄関から部屋に入ってすぐの場所にあるこの空間を、衣類の管理拠点として再定義したのです。ちょっと大げさな言い回しですね。

 実際にやったことといえば、洗面台と洗濯機が並ぶ反対側の壁に、天井まで届く突っ張り式のラックを上下2段設置しました。肌着から外出着まで、ほぼ全ての衣類をここにまとめました。

 帰宅後の動線が整理され、着替えと手洗いがスムーズにつながります。風呂場につながっているため湿気が気になるところですが、換気扇を回せば問題ありませんでした。

 次なる見直しは、ロフト。この記事で一度取り上げた通りです。

 昇り口が狭いため、マットレスや布団を運び込めずに持て余していたこの場所を、ホームセンターで購入した折り畳み式テーブルを置いて、屋根裏部屋を思わせる小さな書斎へと変ぼうさせました。

 窓のないクローゼットは、明るめの照明を付けて、作業部屋としての新たな役割を与えました。

 住まいの当たり前を疑う目は、他の空間へも向けられていきます。玄関の据え付けシューズラックは、棚板を外して折りたたみ自転車の収納スペースへ。収めてみると、まさかのシンデレラフィット!してやったりです。

 電子レンジは、頻繁には使わない点を考慮して、コンロ下の収納へ。ここでも棚板を外し、電源コードは丁寧に養生して、扉のすき間から引き込みました。

 帰宅後の過ごし方は、大きく変わりました。洗面所で着替えと手洗いを済ませ、さっと家事をこなす。疲れていても、自然と体を動かすことができます。散らかることのなくなった部屋。すっきりと片付いた空間が、心までも整えてくれているような気がします。

 「この空間はこう使うべき」という固定観念から解放された時、思いがけない快適さが見えてきました。住まいの当たり前を解きほぐし、自分らしい暮らしを組み直す。

 その過程で気付いたのは、空間の可能性は、発想次第で無限に広がっているということ。毎日の暮らしの中にも、きっと、まだ見ぬ心地よさが眠っているような気がしています。

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はなふさふみ
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