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捨てる前に直す。15年愛用のキッチンばさみをプラリペアで修復した記録
この記事で触れた、持ち手が割れてしまったキッチンばさみ。今回は、このはさみを実際に修理した記録をお届けします。
修理するキッチンばさみがこちら
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愛用の道具、何とか直したい
このはさみ、勤めていた会社の周年記念品でした。使い続けて15年超。すっかり生活の一部になっていましたが、昨年の暮れ、持ち手が割れてしまいました。
不便を感じて修理しようと、まず試したのは接着剤です。ホームセンターにずらりと並ぶ中から、お値段高めの多用途接着剤を購入。くっついたのを確認し、しばらくは問題なく使えていました。
ところが、1カ月ほどして、再び取れてしまいます。使うたびに力が加わる部分の補修には向いていないようでした。
この時点で、買い替えも頭をよぎりました。ただ、長く使ってきたので、なんだかんだ手に馴染んでいます。なんとか直せないもんかな、と調べに調べたところ、良さげなものを見つけました。
救世主の名は
その名も「プラリペアぁ~」(ドラえもんが秘密道具を取り出すときの声で脳内再生してください)。このプラリペア、武藤商事という会社の登録商標になっています。
まずはホームセンターを探したのですが、北海道の地方のせいなのか、売り場に見当たりません。1日農業バイトのときに探した手袋の「マリーゴールド」と同じ展開なので、いやな予感がしました。
何軒かはしごして、コメリで見つけたものの、大容量タイプで断念。ちなみに、並んでいたのはセメント売り場でした。結局はヨドバシカメラに注文し、翌日には届きました。1260円でした(2025/02現在)。
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プラリペアってなあに?
プラリペアとは、リキッド(溶剤)とパウダー(粉)を混ぜ合わせると固まり、アクリル樹脂に変化する「造形補修材」のこと。接着剤ではないけれど、固まる時に化学結合または付着接着が起こるため、強力にくっつくようです。難しいことはよく知らんけど。
アクリル樹脂は、プラスチックの中でも耐久性に優れ、高い透明性があるのが特長。水族館にある巨大水槽に使われていることからも想像できるように、構造的な強度を持って力に耐える特性があるそうです。
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作業用の容器、パウダー、リキッドが入った箱、スポイトとニードル
補修の対象は、プラスチック製品なら、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチロール樹脂、FRP(ポリエステル樹脂)、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂。このほか、アルミ、木材、石、陶器と多彩です。
一方、接着しないものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、エンプラ系樹脂となっています。
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基本の「ニードル法」、お手軽な「ふりかけ法」
説明書には、修理する方法が2つ載っています。
ひとつはニードル法。リキッドをパウダーに垂らして、粒状なったパウダーを補修する部分に盛ったり、埋め込む方法です。
もうひとつの「ふりかけ法」は、補修する部分にパウダーを直接ふりかけた後、リキッドを垂らしていく方法です。
今回は基本というニードル法で修理してみます。
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もちろん、食べられません
準備1:割れた部分に固まりを流し込む溝を作る
まずは、リキッドとパウダーを交ぜた固まりを流し込む溝を作ります。ルーターを使って、割れた部分を少しずつ削りました。
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ルーター(リューター)はダイソー製。700円でした
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準備2:リキッドを容器に入れニードルを差し込む
次に、スポイトを使って、小瓶に入ったリキッドを作業用の容器に移し替えます。今回は修理する部分が限られていたので、容器の底がリキッドで埋まる程度の、ごく少量を使いましたが、それでも余りました。
作業用の容器の先にニードルを差し込めば準備完了です。
リキッドの成分はメチルメタクリレートと呼ばれる物質とのこと。鼻をつく臭いがあります。
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いざ実践。修理の実際
いよいよ修理の本番です。手順を分かりやすくまとめると、
パウダーの入ったカップにニードルを差し込む
リキッドを少し垂らして、パウダーに染み込ませる
粒状なったパウダーをすくい取り、補修する部分に埋め込む
以上の流れになります。写真で実際に見ていきます。
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パウダーが粒状になるのですくい取り、補修する部分に埋め込みます
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自分、不器用ですから(by 高倉健さん)
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自分、不器用で…以下略
この固まり、室温25度の環境なら約5分で硬化するそう。実際には、5分待たずに固まる感覚がありました。
個人的には、スタンダードな瞬間接着剤よりは時間に余裕があるかな、という印象です。そうはいっても、ある程度、手際よく作業しないと、わたしのようになります(涙)。
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ちなみに、盛りすぎてしまっても、後からルーターや、紙やすりなどで削り取ることができるので、あまり気にしなくても大丈夫。見た目が悪くても、大事なのは中身なんです!…後からやすりがけします。
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何事も壊れてしまうと、全くの元通りにはならないのですよ(遠い目)
修理を終えて:強度は実際どうなの?
修理した持ち手を両手で握り、ひねるようにしても、びくともしません。見た目はともかく、修理は成功のようです。この後、大根菜と冷凍してあった鶏肉のささみをカットしてみましたが、どちらも問題なく切ることができました。
修理が予想外に簡単だったことに驚きました。自分の手で問題を解決できた充実感は、心に静かな満足をもたらしてくれました。
キッチンばさみは購入してもそう高いものではありませんが、壊れたからといって捨ててしまえば、ただの廃棄物になってしまいます。永久に使えるとは言い切れませんが、これからもしばらくは、料理のパートナーとして活躍してくれそうです。
プラリペアの魅力の一つである樹脂に変化する特性は、物理的に欠けてしまった部分を埋めることができるため、全国各地の「おもちゃの病院」でも重宝され、多くの子どもたちを笑顔にしているようです。
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欠けた部品と同じ形を型取りすることで、再生することができます
現代は手頃な価格で様々な生活用品が手に入る便利な時代ですが、思い出や愛着が宿ったものが壊れたときは、修理という選択肢も検討する価値があるのではないでしょうか。
「もの」との関係を見つめ直す、小さな気づきの物語でした。
関連リンク
「固まり」の表記は説明書にならいました。
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