健康保険でオーダーシューズを作った話:その2
以前、健康保険でオーダーシューズを作りました。正しくは靴型装具で、私の場合は両外反母趾です。
靴型装具の場合は耐用年数が1.5年と決められています。以前の靴を作ってから1年半ほど経った頃、そのお店のサイトを見ると、コ〇ナ禍で工場を閉めていて、新規受注は受け付けないとあるではありませんか。慌てて他の所を探しました。
以前はストラップ付のローヒールで、次はスニーカーと思っていました。
新たに探した所に、まずは相談に行きました。相談といいつつも作る気満々です。しかも前回の所より近く、徒歩で行けるのが嬉しいです。
どこで作るにしても、大体このような流れだと思います。
①相談
②整形外科受診(装具作成の意見書や診断書を書いてもらう)
③靴製作
④靴納品
⑤整形外科受診(装着確認)
⑥健康保険組合へ療養費請求
①相談
他社とはいえ2回目ということもあり、流れはわかっていました。
以前も保険で靴を作った話はしてあり、「その時の靴をお持ち下さい」とのことだったので持参しました(が、他所で作ったものだからか、良くは言われませんでした……)。
私の場合は踵が小さいので、木型を買ってそれを加工するのが良いとのことです。木型は保険が効かず自費となるそうですが、今後も使えるので良しとしましょう。
まずは整形外科の受診ですが、紹介する先生は他とは違ってきちんと診断をしてくれるというような説明だったので、紹介してもらうことにしました。とても混んでいて待つが、良い先生とのことでした。
②整形外科受診
聞いていた通り、とても待たされました……。
以前の整形外科は健康保険で全て診断してくれましたが、ここは診断書が自費でした。しかし、装具作成の意見書や診断書を書いてもらわないと先に進めませんし、後で療養費申請もできませんので、ここは我慢です。
両外反母趾に加え、両偏平足との診断でした。私は力が加わらない時は土踏まずがクッキリありますが、足のアーチが弱っているため、自分の体重がかかると土踏まずがついてしまいます。それが偏平足ということなのだな、とわかりました。
③靴製作
診断書を持って、靴製作を本格的にお願いします。
以前のところは3Dで測る機械とメジャーで計測でしたが、ここは全てアナログでした。職人技ですね。
1カ月半ほどして、革の縁は未処理でハトメもついていない状態で仮合せをしました。その時の驚きがこちら。
切っちゃうの!?と驚きました。だから高いのですね、ここ。靴2足分の材料、靴2足作る労力の分でしょう。
革の色に合わせて、ハトメやファスナーの色を選ぶのは楽しかったです。
着物を仕立てる時に胴裏・八掛を選ぶのや、ジュエリーのオーダーで金属や脇石を選ぶのに似ています。
切って開いた部分の木型は足し、切って縮めた部分の木型は削ります。木型を直してからまた靴を作るので、納品まで更に2か月弱かかりました。
④靴納品→⑤整形外科受診
靴が納品されたら、同日に装着確認するのが望ましいという通達が厚生労働省から出ているようです。期間が空くのはもちろんいけませんが、もう少し余裕があっても良いのにね、と思います。病院に装具士さんが来るようなケースしか想定していないのでしょうか。
靴を受け取ってすぐ整形外科に向かうと、待合室に座る場所がないほど混んでいました。靴製作所で予めお茶できる場所を聞いていたので行ってみましたが、食事でない場合はテラスのみと言われ、風が冷たい中であまり美味しくないケーキを食べつつ紅茶を飲んでいましたが、それほど時間を潰すこともできずに整形外科に戻りました。
辛いことも「もう来ないし」「今日で最後だから」と言い聞かせました。
⑥健康保険組合へ療養費請求
週末に④⑤を済ませ、週明けには書類を揃えて健康保険組合へ一式送りました。さすが社会保険担当(自画自賛)。数日のうちに問い合わせがなかったので、不備はなかったと思われます。あとは待つだけです。
1カ月ちょっとで通知が届き、無事に7割が戻ってくることになりました!
これで医療費還付申告ができます(還付分は除かないといけませんので)。
履き心地と見た目は
⑤の装着確認の時に、先生に「1日数時間から徐々に増やしていってね」と言われた通り、まずは家の近所で履き、次に通勤時のみ履き(会社では履き替える)、半日履いてみて、慣れたら1日履き続ける、というように増やしていきました。
足底も型を取って足に合わせたインソールが入っていますので、やはり市販の靴や市販のインソールとは安定感が違います。
②と⑤の整形外科にはもう行きたくないので、6月の腰椎捻挫から通っている整形外科の先生に、そのような意見書を書いて頂けるか聞いたところ
(実は以前、受付の人に聞いたら「やらなくはない」という返事でした)
「やるわよ!ただ、お勧めはインソールだけど。整形靴だとゴツくなるでしょう?」
「あ、これが今回作った靴です」
「え?あらゴッツくない。カッコイイじゃない?ファスナーがあるから紐をきちんと締めても着脱しやすいし。へぇ~」
というわけで、整形外科医から見ても及第だったようです。
身体のケア
採寸の時に「側弯あるよね?」と言われました。そういえば子供の頃に言われましたっけ。しかも、祖母も母も歳を取ると背中が片方だけぽこんと丸くなったので、これは遺伝でしょう。
右足に5mm足してあります。これで左右の肩の高さの差が、良くなったと言われました。5mmで違うものですね。
「問題はさ、これを靴屋が指摘するってことだよね?なんで医者が言わないの、って」
本当にそう思います。
この社長(義肢装具士)によると、膝や股関節、腰を痛めている人の大半は、外反母趾があるとのことです。股関節を痛めて通院している時、どの整形外科医も外反母趾なんて見ませんでしたね。
3Dで足の計測をしていたお店の人は、今は足の幅が細くて踵が小さい人が多いのに、靴メーカーが昔のイメージで幅広甲高の靴を作ってしまうと嘆いていました。
実際に多くの足を見ている現場の声は、なかなか届かないのでしょうか。
それでですね、私が言いたいのは、生まれ持った骨格の違いや、その身体を長年使ってきた歴史があるじゃないですか、それを踏まえて身体の状態を診てくれて、無理があれば正すようなことを出来る人って、どんな資格を持っていて、どこに行けば見つかるのでしょうね?ということなのです。
以前は人から勧めてもらった整骨院に通っていましたが、引っ越して遠くなってしまい、近所では一から探すのもなかなか腰が上がらず、今に至ります。