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知らないことを知らないと言えるということ

新人の頃に、社内文書の見方やルールを部長が教えてくれました。
ちょうど通りかかった隣の部の人が
「えっ、僕もちゃんと聞いて良いですか?恥ずかしながら、入社6年目にして初めて知りました。そうだったんですね。」

すると部長が
「キミな、知らない事を知らないって言えるのは凄い事なんだぞ」
ポカンとする先輩。
「6年もすると、知ったかぶりする奴が多くてな。聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥とはよく言ったもんだろ?」
「一生の恥は回避できたわけですね」
そうだよ良かったな、とニヤリとする部長。

確かに、プライドの高いエンジニアが多く、管理系の部長は手を焼くこともあったでしょう。実際、技術の部長とは言葉の応酬になることも多かったです。

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この後、ダイアモンド鑑定/宝石鑑別のディプロマ(以下G.G.=Graduate Gemologist)を取った後に宝飾業界に入りましたが、私のいた会社がジュエリーの加工をお願いしていた会社の社長は、他の営業いわく「怖い人」でした。

何人もの職人を束ねていてその管理もありますし、受けた仕事を適任の職人に振って完遂させてきちんと納品して、会社としては利益を出さないわけで、厳しいながらも立派な経営者でした。

私は怒られるようなこともなく沢山勉強させてもらったと思っていますが、ある時、雑談の中で言われました。
「あなたは『わからないので教えてください』って言えるし、教えればお礼を言うから」

前後の文脈は忘れてしまったのですが、つまりそれで他の営業は怒られたのかしら、と思ったのです。G.G.という点は私も同じでしたが、他の営業は、アメリカのGIAでG.G.だけでなくデザインや制作も学んだ人、宝石店の二世、前職はジュエリーブランドの販売と、全員が業界経験者でした。

それに対して私はG.G.を取っただけで、業界は初体験。右も左もわからないので、頭を下げて教わるしかないわけです。新人の頃のあの6年目の先輩のように、素直に教えを乞うことができていたのでしょうか。

私がその宝飾の会社を辞める時に、この後どうするの?とその社長は聞きました。当時、ジュエリーデザインや制作を習っていたので、それは続けて、個人的にジュエリー制作などはやっていきたいと言いました。

「女性がプロデュースするのは良いと思うよ。実際、身に着けるのは女性が多いわけだし。頑張ってね、応援してるよ」
なんとも温かいお言葉を頂き、私も加工の際はお願いしますと言いました。

実際、ぼちぼちジュエリーの仕事を受けるようになった時、この会社にも加工をお願いしました。掛け売りではなく現金取引になっただけの違いで、個人となった私の仕事も引き受けてくれたのは、今でも大変有難く思っています。

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はなえみ🌺(キャリアコンサルタント+産業カウンセラー+元人事)×ジェモロジスト💎
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