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2月の読書記録 育てたように子は育つ/相田みつを



2月は5冊読みました。記事を二つに分けます。


2023年2月に読んだ5冊



◉マラン・カラン / 古内 一絵
ドラァグクイーンの“シャールさん“が深夜にだけ営業する夜食カフェ。
そこに訪れる人たちとの物語。

「春野菜のキャセロールよ。北米の家庭料理なんだけど、本当は暖炉で作る料理なの。今夜は寒いからちょうどいいでしょう。」

「マグカップを手に取ると、ふんわりとシナモンが香った。一口含み、飲み下す。胃の中がぽっと温かくなった。」

「いつの間にかガムラン・ドゥグンが終わり、今はサティのジムノペディが室内に流れている。一日の終わりを前に誰もがゆったりと心をくつろがせている」
マラン・カラン

手の込んだ美味しい手料理とシャールさんの人柄と親しみやすさ、それに加えてこのカフェがどれだけ居心地の良い空間なのかがいろんなところから伝わる。知らない料理名とか食材が沢山出てくるし、食器の名前とか流れている曲も呪文みたいだけど私も春野菜のキャセロールを食べながらサティのジムノペディを聴いてくつろぎたくなるようなほっこり物語だった。




◉生きるぼくら / 原田マハ

母と二人暮らしのひきこもりの男の子。突然お母さんが置き手紙を置いて消えてしまったと同時に長年会っていない大好きなおばあちゃんが余命数ヶ月だと知る。覚悟を決めておばあちゃんに会いに外の世界に出ていく。

マーサばあちゃんの味噌汁はしみじみと懐かしい味がした。手製のぬか漬けも程よい酸味で歯ごたえがいい。昔ながらのかまどで炊いた白米はふっくらとして香ばしかった。こんなに美味い食事をしたのは一体いつ以来だろうか
生きるぼくら


この本もマラン・カランと同じで“おいしいご飯“を中心に色々な人間ドラマがあるのだけどマラン・カランと違って「お米」っていうシンプルなところがメイン。でもこの本を読み終わったらお米のことを「シンプル」だなんてとても言えない。お米万歳。

ちなみに、マラン・カランと生きるぼくらは母親から借りた本。先月読んだ母親から借りた本も含めて、話の中で「おいしい食べ物」が重要になってくる本が多くて母がそういう話が好きなんだと気付けたのも意外な発見。小さいころ「お母さんの作るおにぎりよりコンビニのおにぎりの方が美味しい」ってお母さんに言ったことがあって、今思い出すと申し訳なくて胸が張り裂けそうな気持ちになるよ。大人になって、自分のお母さんのご飯が一番おいしいって本当に心から思える。


◉育てたように子は育つ / 相田みつを著 佐々木正美著

相田みつをさんの詩を、児童臨床心理学の立場から「心の薬」として治療に役立てている佐々木正美先生が、それぞれの詩に対する短いエッセイと実際の臨床例を一緒に紹介している

最近の自分の長男との関わり方に対してのタイムリーな言葉だらけで全文写生して頭に叩き込みたいほど。

子供に限らず草花でも農作物でもなんでも育てることが上手な人は、待つことが上手な人だと思う。しかし待つことの喜びは日常の努力と相関する。深夜に帰る子供を寝ないで待っていてやること。傘を忘れて出かけた子供を駅の改札口で傘を持って待っていてやること、「育てる」ということはこうしたことの積み重ねである。子どものために、そういう日々の営みの連続に、密かな誇りと喜びを感じ続けていてやりたいと思う。子どもの中の自律性や自立性は、待っていてやるからこそ育つ。
短所のない人間はいないが長所のない人間もいないだからこどもたちには「いのちいっぱい生きればいいぞ」とだけ言ってやればいいのに私たち大人は余計なことを言って道を見失ってしまう子どもにしてしまう。
教育とはあらゆる子どもが持っているその子固有の長所を見つけてそれに感動してやることそしてそれを子供に伝えてやることだと思う。短所を探し出して直してやることなどほんとうはしなくてもよいこととさえ思っている。
みつを氏の言葉に"花は咲く ただひたすらに"という言葉がある。
子どもが自分のことが好きになれるように育ててやりたい。それもできるだけそのままで、ありのままの自分を好きになれるように。

だから「そのままでいいがな」と言ってやりたい。人生の最初から言い続けてあげたい。



私の心のバイブルが一冊増えました。



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