英読書会-夏目漱石「草枕」
夏目漱石「草枕」(1906)読書会の記録(2019/1/28)
参加者:英、SHさん、MTさん
・夏目漱石の私小説的な作品。熊本に行った時の、実際にある温泉らしい。ヒロインである女将の那美さんのモデルもいるらしい。難しい芸術についての思考の文もある。小説の主人公を通じて自らの芸術論を語ったようでもある。
・「我輩は猫である」や「坊ちゃん」と全然違う文体でびっくりする。(会話のところは威勢が良くて面白い)。漢文の素養を感じる。現在では使われない言葉遣い。
・声に出して読むリズミカルさがある。ただし朗読では、聞いている人は漢字が見えないので、そこは難しくはある。
・主人公が女将に話す「小説はどこから読んでも良い」。(この小説もそのようなスタンスを感じる)
・ミレーの「オフィーリア」の絵の印象が浮かぶ。
・主人公がはっきりしなくて謎が多い。書かれたのは漱石が作家としてスタートしてまだそんなにたっていない時期。漱石は自分が作家というアイデンティティは無かった可能性もある。画家か文筆家か判然としない主人公はそんな作者の揺らぐ時期の投影かもしれない。
・同時に読んだ「坑夫」(1908)も、人間関係に疲れて遠くへ出かける主人公。「とかくこの世は住みにくい」。漱石、この頃、病んでたのかもしれない。
「草枕」
https://www.shinchosha.co.jp/book/101009/
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