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子どもが生まれた日という"だけ"で、「なんでもない今日」は今日から「特別な記念日」になる

「陣痛かもしれない。でも気のせいかもしれない」

長男の時もその葛藤でギリギリまで家にいて助産師さんに注意されたのに、2度目でもやはり、私はギリギリまで耐えていた。私って、痛みに結構耐性があるほうなのかもしれない。

「ちょっと猪狩さん、2人目なのに随分我慢しましたね……早く来ないと家で生まれちゃうよ!急いで来て!」
「す、すみません」

前日の検診で子宮口が既に5cm開いていた経産婦を帰したのはそっちなのに、なんたる言種!

なんて言えません。

いやそうですよね。おっしゃるとおり。
でも私、電話苦手なんだよ……許して。

ふだんなら朝までぐっすり超熟睡で絶対に絶対に絶対に起きない長男が、何かを察知したかのように早朝に目覚め、病院の前まで着いてきてくれた。

「長男くん、ママがんばるよ」
「ママ…ママぁああああ!」

嗚呼、涙の別れ。
(感染症対策でお見舞いも立ち合いも禁止だったので、以降退院まで一切長男には会えず、2歳のメンタルはめちゃくちゃ不安定になった)

長男を産む前は「私が死んだら、ああしてくださいこうしてください」とお手紙をしたためてさめざめ泣いた。

なにがあるかわからないお産。
お手紙自体は、次男のときも書いたけれど、出陣に際しての私は武士のメンタリティ。

「かわいい長男坊と夫を残して死んでられるか!!!」

という気概に満ちていた。

母、強い(cv.アーニャ)

でもさぁ聞いて。全開大のときに地震が来たし、そのあと「一旦いきむのやめて!」って言われたんだよ。無理では???

武士の心で分娩台にいたけど、地震来た時は流石に「助けて!死にたくない!」と思った。お腹痛いし……動けないし……股開いてるし……

結局いきむのやめるの無理だったからそのまま出てきちゃったんだけどね!(経産婦特有のテンション)

予定日より2週間も早く出てきた次男坊は

小さくて、細くて

長男より400g軽いだけでこんなに華奢なの?ってくらい、壊れそうな赤ちゃんだった。

泣き声も小さいし、おっぱい飲むより寝てたいですみたいな感じだし、同じお腹から出てきたのに全然違う生き物で驚いた。

折れてしまいそうな手首。
くりくりの大きな瞳。
はかなげな泣き声。
新生児サイズのおむつすらぶかぶか。

いったいこの子はどんな子に育つんだろう。

とにかく、大きく元気に、健康に。
たくさん飲んで、食べるんだよ……。

すやぁ……(入院中は2歳の世話がないので、これでもかというくらいめちゃくちゃ寝た)


💐


「ママ、ごあん(ごはん)」
「たまぁご、ほしい」
「オイシイネェ」
「これ!!!もっと!!!」

……

儚く、細く、か弱く泣いていた赤ちゃんは、2年の時を経て、力強く、元気に、ぽよぽよに成長した。

兄より食べる。
同時期の兄よりでかい。
兄と張り合ってバトルする。

嗚呼、強く、たくましくなって……。

ほんと、子どもの個性の強さに圧倒される。親が出来ることなんてサポートくらいしかないっていうのを体感する日々。何を言っても食わない長男の横で長男が手をつけないものもぺろっと食べる次男ですよ。

すぎてしまえば
あっという間に「もう2歳」。

2年前のことを、振り返る日がまたやってきたんだなぁとしみじみ思う。

岡崎体育の誕生日に生まれるかな?
サラダ記念日生まれもいいなぁ
七夕生まれもロマンチック!
オリンピックの開会式に生まれるかな?

どの予想とも違う、「なんでもない日」に生まれた次男坊。

さっきまで「なんでもない日」だった日に、色がつく。

次男坊が生まれた瞬間に、「かけがえのない記念日」になった今日。

すくすく育ってくれて、ありがとう。お願いだから、私が死ぬまで、今日をずっと祝わせて。

お誕生日おめでとう。


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猪狩はな|教育ライター
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