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2020年1月の記事一覧

くらげが眠る、ほんの少しの白昼夢で

くらげが眠る、ほんの少しの白昼夢で

冬の澄んだ空気が空をどこまでも伸ばす。虹色に染め上げられた雲はオーロラのようで、だから幼い時分のきみに出会えたのだと思う。「つれてって」校門の角にできた雪山の隣。座り込んだちいさなきみが赤くなった頬で言うから、僕はその日、ついぞ門をくぐらなかった。

「ほんとはね、くらげが眠るとこを見たかったんだけど」たどり着いた水族館できみは、冷たい水槽に額をつけた。それは僕たちの繋がりが終わる前にきみが嬉

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