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掌編

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2019年7月の記事一覧

終演

 彼女は、ぴかぴか光る木製の什器に感情を飾っていた。
 完成された人間として振る舞うのを、俺はスコープ越しに眺める。
 
 木目のタイルが敷かれ、什器だけがぽつりと残される簡素な部屋。棚の後ろには、不似合いなマンホールが埋まる。その奥底、俺は銃を肩にかけて地下道の滑る壁にもたれる。
 見世物にできなかった感情は、この道に眠る。不都合とラベリングされた感情は、腹を空かせて彷徨う。彼女が置き去りにした

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