小さい頃からずっとお気に入り!"ライナスの毛布”(安心毛布)って知ってる?
みなさんは、物心ついたときからずっとお気に入りの物はありますか?毛布だったりタオルだったり、ぬいぐるみの人もいるかもしれません。今は持っていなくても、小さい頃にそのような物を持っていた記憶がある人もいるのではないでしょうか。また、現在子育て中の方は、同じようにお気に入りの物があるというお子様がいるかもしれません。今日は、安心感を得るために持つ『安心毛布』についてお話したいと思います。保育園や幼稚園での対応も含めて書いていきますので、ぜひ読んでみてくださいね!
<このnoteは『COTETE Labo』掲載記事です>
ライナスの毛布・安心毛布って何?
ライナスとは、スヌーピーで有名な"ピーナッツ”の漫画に登場する子で、いつもお気に入りの青い毛布を持って歩いている男の子です。
ある特定の物を持つことで精神的な安心感を得ている現象・その物のことをその子の名前をとって『ライナスの毛布』といったり、『安心毛布』『ブランケット症候群』と呼んでいます。
これは、何も毛布に限ったことではありません。ブランケット・タオル・ぬいぐるみ・枕カバーなど別の物を気に入る人もいます。
持っていると安心できる特別なもの
ライナスの毛布は、子どもだけではありません。大人でも家では愛着を持った大切な物を持っている場合があります。寝るときは同じ毛布を使わないと眠れなかったり、同じ枕じゃないと眠れなかったり、小さい頃からずっとおなじぬいぐるみを抱っこして眠っているという人もいます。
ライナスの毛布はその人にとって、持っていると安心できる特別な物なのです。
強いこだわりから、困ることもある
ライナスの毛布を持っている人には、強いこだわりがあることが多いです。「赤ちゃんのときからこのタオルを持っていると大人しいんです」という風に、“お気に入りの物”であることには間違いないのですが、『絶対にこのタオルじゃなくちゃだめ』『絶対にこの毛布じゃなくちゃだめ』と強いこだわりを持ちやすくなっています。
例えば、こんなこだわりがあります。
◎全く同じ新品のタオルや毛布を渡しても納得できない
現在持っているものにこだわる。全く同じ新品のものだとしても嫌で、結果的にボロボロになってしまっても捨てることができない。
◎匂いや肌触りが変わってしまうから洗濯をすることが嫌
何年も洗濯することができないとやはり不潔になってしまう。特にお子様の場合は、外にも持って行くことで汚れやすくなってしまい、衛生面が心配に。
◎旅行などにも持って行かないと落ち着かない
修学旅行や社員旅行など他の人と行く旅行の際にも持って行かないと落ち着かなくなってしまう。お子様の場合は、日々の保育園のお昼寝や、お泊り保育などにも持って行こうとする。
保育園や幼稚園の対応
それでは、お子様にとってライナスの毛布のような存在があった場合、保育園や幼稚園ではどのような対応をするのでしょうか。今現在お気に入りのものがあるお子様には、これから入園に向けての参考になると幸いです。
安心できるものを園に持って来る子は多い
お気に入りのものを、保育園や幼稚園に持って来ようとする子は多いです。特に0、1、2歳の乳児クラスや、入園したての子、まだ保護者の方と離れることに慣れていない子はまさに“安心毛布”という名前の通り、精神的な安心を求めて園に持って来る子は多いです。
園の対応
実際園ではライナスの毛布に対してどのような対応をとるのでしょうか。
いくつかの例をご紹介したいと思います。
①自宅から持って来るものは完全に禁止。園に預ける際に保護者の方に持って帰ってもらう。
他の友達が欲しがったり、活動中に汚れたりと園として責任がとれないため、自宅から持って来るものは禁止というルールが設けられている場合があります。
また、最近ではコロナ禍のため、自宅からの持ち込みが禁止の場合も。
他には、やりたくない活動のときに毛布(やタオル等)を持ちたがり、活動に支障が出てしまう場合などもこの対応がとられることがあります。
②園に慣れるまでは可だが、家庭と協力して少しずつ手放せるように援助していく。
主に小さい赤ちゃんにとられる対応で、持っていることで安心して園生活ができる場合には持ち込みが可能になることも。ただ、園に慣れ次第少しずつ持っている時間を短くし、最終的には園に持ってこないように家庭と連携をとっていくことが多いです。
③いつでも持ってきてOKだが、リュックにしまっておき、登園時と降園時のみ出してもよい。
幼児の子など、話をしっかりと理解できる子に対してこのようなルールを設けることがあります。「持ってきてもいいけど、リュックにしまっておこうね。保育園ではなくなっちゃったら大変だから、出さないようにしようね。」などと声をかけ、園内では出さないようにする対応です。
一例ではありますが、このように園によって対応を決めている場合が多いです。
実は子どもではなくお父さんお母さんが執着している場合も…
「寝るときはこの毛布じゃないと絶対に寝てくれないんです」
「常に肌身離さず持っています」
「泣いたときにはこれを渡してください。落ち着くと思うので」
などと仰り、毎日持参する保護者の方がいるのですが、実際は持っているのは登園時の数分だけで、すぐに放して遊び始める子も比較的多くいます。
「園ではすぐに放して遊んでいますよ」「今日は一日通して持つことはありませんでしたよ」「毛布を持たずに眠ることができていますよ」とお伝えしても、「そんなことはない、絶対に必要なはず」と毎日持参する場合も…。
子どもはとても適応力があるので、園で楽しく遊んでいる間は、毛布やタオルなどのことを全く思い出さず、結果的に使わないということがよくあります。
このときに考えたいのは、『子どもではなく、親が執着していませんか?』ということです。
小さい頃から何年もずっと持っているものは、保護者の方にとっても大切な存在になっているはずです。
「赤ちゃんの頃からこれを持っていたらすぐに泣き止んだ。」
「写真を撮るときもいつも一緒に写っている」
我が子が成長するに連れて、色あせ、ボロボロになっていくけれど、そんなところも愛おしい…
そんな風にいつも肌身離さず持っていたため、この子にはこれが必要・これがないと可哀想という気持ちが忘れられない方もいらっしゃいます。
ずっと一緒に過ごしてきた大切な宝物から卒業してしまうのは寂しいと感じますが、お子様が成長に伴い自分で卒業したのならば、思い出を心にしまって成長を喜んであげましょう。
あえて卒業しなくても大丈夫
ライナスの毛布は、あえて卒業する必要はないといわれています。
精神的に安定するのであれば、満足のいくまで持たせてあげましょう。
しかし、幼稚園や学校・学校行事の旅行などでも持っていくとなると困ることもあるかと思います。持っていけない場所があるということをしっかり伝えるといいですね。
一方で環境が変わることですんなり卒業するというパターンもあるようです。
それでも管理が大変であるなどの問題から、ライナスの毛布から卒業させたい場合、どのようにすればいいのでしょうか。
「なければないでなんとかなるでしょ!」といきなり隠したり捨ててしまうと、不安からパニックになってしまう子もいますし、捨てられたことによる不信感で信頼関係にも関わることがありますので注意が必要です。
別の遊びなどに誘い気分転換をする
保育園や幼稚園では持って行ったものの使わずに帰ってくる子が多いように、遊びや食事などをテンポよく行いながら、自然に対象の物を忘れられるような環境にしてみましょう。
「毛布はどこ?」と聞かれたら、お洗濯をしているよなどと答え、仕方ないなと思わせるという体験談もありました。
少しずつ小さくしていく
タオルや毛布などの場合、子どもに話した上で少しずつ小さく切っていくという方法があります。「学年が進級したら」でもいいですし、「ここ汚れちゃったからちょっと切るね。虫さん来たら大変だから!」などと言うのもよいでしょう。「こっち使ってる間、こっちを洗って綺麗にしておくね」と予備扱いにしながら日に日に小さくしていくのも◎
ぬいぐるみなどに加工する
タオルや毛布などをぬいぐるみや人形の服に加工することで、おもちゃの一部になり卒業することができたという体験談があります。なかなか手間のかかる作業ではありますが、逆にこうすることで大人になっても一緒にいられるというメリットもあります。
最後に…
タオルや毛布とはいえ、安心できるものがあるということはお子様にとって大きな存在だと思います。衛生面や登園時の問題などもありますが、自然に卒業できる日を待ってあげてもいいのではないでしょうか。
私も最初は知らなかった“ライナスの毛布”という名称ですが、みなさまの知識としてお役に立てていたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!