no one。
close の文字で封印された扉を開けて
深紅のソファに腰掛ける
真っ白なテーブルに置き忘れた
燭台に手をかざせば火が灯る
開けっ放しの透明なカーテン
月光が落ちた床は白銀に染まる
誰もいない黒檀の海のように
耳鳴りと鼓動だけ繰り返す
生命を泳がせて
生命を泳がせて
世界は笑う
こんな夜の話を
きっと君は知らないだろう
close の裏側は塗り潰されて
黄金色の one-ness を待っている
煙が立ち昇る蝋燭に咲いた
あの花はずっと薄紅のまま
閉ざされた窓を開けたのは
名も無き紺碧の星屑
誰もいない翡翠の森のように
密やかに囁くあの日の約束
生命を吹き込んで
生命を吹き込んで
世界は笑う
こんな夜の話を
きっと君は知らないだろう
close の文字は煽られ散って
翻弄の風が虹色になる
燃え始めた花の残り香
引き寄せられた光は何色
誰もいないはじめての季節
誰もいないと知りながら
何億光年も先の未来に
残せるのは何色
生命は生まれ
生命は終わる
こんな世界を
きっと誰もが知ったつもりで
きっと誰も
知らない
hana 言葉の海®